●50年前にはなかった今あるくすり
いま私たちが医療の場で使用している医薬品の99%近くは、50年前に世の中に存在していませんでした。言いかえると、この50年余りの間に今日の医療になくてはならないくすりのほとんどが新薬として登場してきたのです。
新薬がひとりで生まれてくることはありません。そこには砂漠のなかからダイヤモンドを探すような努力が必要です。新たに発見もしくは化合物として創製された物質を、病気の予防・治療や症状の改善に役立つくすりとして医療の場に送り出すまでの研究と開発の仕事を「創薬」と呼んでいます。
●リスクの大きな「創薬」の仕事
人間の身体の仕組みや病気・症状について新しい知識がえられると、病気の予防や治療についてのヒントがいくつも生まれます。そこで新薬候補物質の探索や合成が試みられます。しかし、それら候補化合物が新薬になる率は10,837分の1、化学実験から生物を使った試験を経てヒトでの安全性と有効性を確かめて新薬として世に送るまでの歳月は9~17年という長い歳月を必要とします。その間、1品目あたりのくすりの開発費用は200~300億円にも達します。「創薬」は膨大な時間と多くの人の英知と費用を要する、リスクの大きな仕事です。
●「創薬」を支える社会経済的要因とは?
新薬は、ときには手術の必要をないものにしましたし、入院期間を短くし、在宅で病気の多くをコントロールできるようにするなど、医療の様相を一変させてきました。新薬開発は、私たちの医療の進歩向上に欠くことのできないものになっています。
では、リスクをおそれず膨大な投資さえすればできるのでしょうか。この50年間に新薬を生み出してきた国を見ると、たしかに欧米も多いですが、昨今では日本で開発された新薬も、欧米をはじめとした諸外国へ数多く進出し、高い評価を受けています。
「創薬」を支える社会経済的要因を挙げてみると次のようになります。 |