製薬協について 製薬協について

Topics|トピックス

最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前 pdf
195号タイトル
トピックス画像
前へ123次へ
「第35回 広報セミナー」を開催
line03 line03 line03

2. SDGsとパリ協定の関係

世界では環境問題に対する大変革の動きとして「脱炭素」の流れができつつあります。その流れを加速したのが、2018年10月に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した「1.5℃特別報告書」です。パリ協定では、今世紀末までに産業革命前からの気温の上昇を2度以内に抑え、できる限り1.5度に近づける努力をするのが合意事項でしたが、IPCCの報告では、すでに地球の気温は1.1度上昇しており、2030年には1.5度に到達する可能性があるそうです。温暖化の影響がシビアなものになるのを避けるためには、2030年までにCO2排出をマイナス45%、2050年には実質ゼロエミッションにして、気温上昇を1.5度までに抑える必要があるとの報告でした。
 環境と経済・ビジネスの視点では、これまでは「いかに調和させるか、バランスをとるか」あるいは「環境対応はコストである」との捉え方でしたが、もはやそのような段階ではありません。人類の生命を維持してきた地球システムがさまざまな面において限界を迎えつつあるとの認識のもと、地球環境こそが経済やビジネスの土台であるとの意識に転換しないといけません。そうした背景から、SDGsとパリ協定が生まれました。持続可能な社会のための脱炭素時代を作り上げていくことを目指すSDGsとパリ協定は表裏一体の関係にあり、今後の世界、社会、企業、市民生活のあり方を規定していくものです。
 たとえば、現在、飢餓人口が増えつつある状況ですが、この背景には地球温暖化による水不足の深刻化や自然災害が、農業生産や漁業に大きな影響を与えたことがあります。飢餓を減らすためには、これまでのような食糧や農業生産の援助だけではなく、二酸化炭素を減らして温暖化の影響を緩和することに取り組まないといけません。食料廃棄の問題については、生産、流通、販売、消費のプロセス全体において、およそ3分の1が廃棄されており、結果的に廃棄された食料のために排出されたCO2は人間が排出している総量の8%になるとFAOは試算しています。ですから食料廃棄を半減するというSDGs目標はCO2削減にもつながります。これはSDGsとパリ協定の表裏一体の関係を示すものです。

3. SDGsが打ち出された背景

SDGsには幅広い目標、ターゲットが設けられています。これまで国連が出していた目標は主に開発途上国向けでしたが、SDGsは異なります。先進国自らが、SDGsのさまざまな課題が根っこではつながっていることを意識し、率先して「自分事として」解決に取り組まないといけないのです。
 たとえば、水不足の問題があります。日本にいると実感がもてませんが、今後、世界的に水不足は深刻な問題になるでしょう。一方で、日本は食料自給率が低く、世界の水資源、土壌、労働力を使って大量の食料を輸入しています。今後、水資源の環境が悪化すると、輸入量の減少や穀物価格の上昇等、日本にも影響が表れることになり、決して他人事ではありません。
 SDGsが多くの目標、ターゲットをもつに至った背景は、地球環境の限界が意識されるようになったことと、グローバル経済の拡大に伴って不平等も拡大したことにより、世界全体の不安定感が増し、経済、社会、環境の問題を統合的に捉えるものを作るべきとの機運が高まったことにあります。SDGsを理解するには、地球環境に対する危機感と、不平等の拡大により置き去りにされている人たちを取り残さないという理念を共有する必要があります。

4. 地球環境変化のティッピングポイント

地球環境が限界にきていること、これは昨今、日本でも世界各国においても猛暑、台風、高潮、海水面の上昇等、温暖化の影響が随所に表れていることを目の当たりにしています。しかし、これほどまでに気候変動による影響が表れ、地球からのwarningをわれわれは受け取りながら、SDGsが登場してからの4年間、CO2の世界の総排出量は、減少するどころか過去最高を記録し、むしろ増加し続けている状況にあります。これはさまざまなデータとしてはっきりと表れています。
 気温が2度から3度に上昇するどこかの時点で、気候が極めて不安定化し、グリーンランドや北極・南極の氷や氷床が不可逆的に溶け出す、臨界点=ティッピングポイントを迎えるといわれています。このティッピングポイントを超えることで温暖化が加速すると、熱帯雨林のシステムが崩れてサバンナ化します。このように、1つのティッピングポイントが次のティッピングポイントを生み出し、悪循環に陥ることが懸念されています。すでに北極の氷の溶け出しは予想をはるかに超えたスピードで進んでいます。これらのことから、われわれが死守すべきは、気温の上昇を1.5度以内に抑えることなのです。
 直近の70年ほどの期間において、大量生産・大量消費でCO2を排出し続けたことにより、人類が地球の姿を変える力をもってしまいました。これまでの経済成長を支えてきたやり方では地球は耐えられなくなりました。このような状況下において、企業として環境は「コスト」ではなくビジネスの「土台」であるとの認識に変えていくことが求められています。

前へ123次へ
最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前

このページのトップへ