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臨床試験の個別被験者データの共有にあたって
最近の動向も交えて
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CTDS導入にあたって

製薬企業で実際にCTDSを導入する場合、データの非特定化の実務を主として担当するのは一般にデータサイエンス部門になりますが、それ以外のさまざまな部門が連携して準備および運用を行う必要があります。
 CTDSを導入するにあたっては、まず社内の上層部への説明や予算の確保を行うため統制部門を決めることが望ましいです。統制部門は、CTDSを主務とする組織を新たに用意する企業もある一方で、既存の部門のどこかがその役割を担うことも多いようです。CTDSで研究者にデータを共有するためには新たに自社独自の環境を構築するのか、それとも既存のコンソーシアム等に参加するのかの判断(共有環境の決定)や、各部門の作業進捗の取りまとめを行うのも統制部門の役割と考えられます。
 検討内容が多岐にわたるため、データサイエンス部門に限らず、メディカルライティング部門(臨床試験報告書(Clinical Study Report)作成の主管部門)、臨床管理部門(臨床試験の届出やProductの開発状況を把握する部門)、法務部門、メディカルアフェアーズ(MA)部門(Publicationの主管部門)、薬事部門、IT部門等の関与は必要と考えられます。また、共有対象となる試験範囲を定めた会社ポリシーの制定や会社ウェブサイトでの公開には広報部門とも情報共有が必要でしょうし、CTDSの活動の性質上、CSR(Corporate Social Responsibility)を担う部門との情報共有も必要になる可能性があります。
 データサイエンス部門の具体的な作業としては、準備段階ではデータの非特定化のルールを定めた手順書の作成や臨床試験報告書・統計解析計画書等の墨塗り/マスキング(redact)ルールを定めた手順書の作成・レビューが必要になります。また、運用開始後は研究者からのリクエストに応じて、手順書に基づいたデータの非特定化を行い研究者に共有するとともに、一連の非特定化作業に関する報告書を記録として残しておくのが主な役割です。
 実際に研究者からのリクエストを受けられる状況にするだけでもさまざまな検討と成果物が必要になります。新たにCTDSの運用開始のための検討を開始してから実際に研究者に共有が可能となるまでに年単位の期間を要することも十分に考えられます。研究者への共有が可能となった後も、リクエストに対するデータの非特定化・文書の墨塗り/マスキング(redact)等の直接的な作業はもちろんのこと、関連法規制やルールの最新動向の確認に加えて、準備段階で用意した手順書等のメンテナンス・更新や標準手順の範囲を超える状況が発生した際の意思決定も必須であることから、運用を継続するためには人的および金銭的なリソースが各部門で少なからず必要となります。
 表2には、準備および運用に必要となる主な業務と、参画が必要と考えられる部門との関係をまとめました。これは一例であり、各社の組織体制および業務分掌に依存して最適な役割と責任は異なる可能性がある点にご留意ください。

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