製薬協について 製薬協について

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臨床試験の個別被験者データの共有にあたって
最近の動向も交えて
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Multi-Regional Clinical Trials Center(MRCT center)of Brigham and Women's Hospital and Harvard Universityにより設立された独立非営利団体のVivliは、2018年7月に独自のデータ共有プラットフォームの運用を開始しました。製薬企業のほか、Project Data Sphere[34]やImmPort[35]といった既存のデータ共有プラットフォームとも連携しており、加盟団体は2019年5月時点で19団体・企業にのぼっています。加盟している製薬企業には日本の製薬企業も含まれています。世界105ヵ国から3900以上の試験がVivliのCTDSプラットフォームで共有可能となっており、被験者数で見るとおよそ190万人分のデータに相当しています。VivliのCTDSプラットフォームの特徴として、柔軟な対応が挙げられます。たとえば、データ利用者が研究に用いたい外部データをVivliのCTDSプラットフォームにアップロードして、Vivli内で共有されているデータとともに解析することも可能です。もう1つの特徴として、データ利用者側の費用負担があります。費用は、利用する環境のスペックに依存するほか、たとえば標準環境であれば365日以内の利用は無料といった配慮もされています。これにより、データ利用者が共有されたデータを使った研究をタイムリーに実施するインセンティブとしています。Vivliは、各種Webinarや啓発イベントを精力的に行っているほか、AllTrials[36]、ICMJE等の医学論文雑誌(団体)、コクラン[37]等さまざまな団体とコミュニケーションを活発に行い、データ提供者、データ利用者そしてより広いデータ共有コミュニティの間の中立的な仲介者としての役割を発揮しています。

CTDSを取り巻く国内情勢

国内情勢の変化としては、厚生労働省より発出された「治験の実施状況の登録について(課長通知2018年3月26日)」[38]により、IPD sharing statementが登録項目に加わりました。この動きを受けて、たとえばJapicCTI[39]では「IPD共有に関する計画」および「IPD共有に関する計画の詳細」の記載欄が追加されました。これにより製薬企業は、治験を実施する際、個別被験者データを公開する計画を記載する必要があります。公開を計画している場合は“Yes”、計画していない場合は“No”、未定である場合は“Undecided”を記載します。これは、世界保健機関(WHO)が国際臨床試験登録プラットフォーム(International Clinical Trials Registry Platform、ICTRP)[40]において登録・公表を求める項目[41]に由来します。
 一方、CTDSの活動を行うためには既存のCTDSプラットフォームに加盟する等、データ共有のための体制や環境の整備が必要となります。昨今、このCTDSプラットフォームへの加盟会社数の増加が見られることから、業界全体にCTDSが浸透してきているといえます。国内製薬企業に限ってみても、前回のレポート公開時と比べて加盟会社数が増加しています。
 アカデミアにおいてもCTDSが広がりを見せており、日本神経精神薬理学会[42]では精神神経領域におけるデータシェアリングを推進するための取り組みとして、活動に賛同した一部の製薬企業とで構成された「精神・神経データシェアリング推進組合」設立のための準備委員会を発足するといった動き[43]も見られます。

CTDSに関連する法規制

CTDSに関連する法規制は国内外に数多くあり、共有するデータの対象範囲や共有先、共有方法に応じて、順守すべき規制を吟味する必要があります。また、各規制間で制約内容や使用される用語もさまざまとなっているため、注意が必要です。今回はその例として日米欧での関連規制の一部を紹介し、そこで定義される代表的な用語の一部を表1で比較します。類似する用語は1つにまとめて比較し、また比較対象がない用語もほかの規制では定義がないことの提示として一覧化しています。なお表掲載の関係上、長い原文を要約・仮訳していますので、その点をご留意願うとともに、詳しくは各規制の原文をご確認ください。

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