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臨床試験の個別被験者データの共有にあたって
最近の動向も交えて
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【リスク】

医学的・統計的に妥当でない2次解析の実施

不適切な2次解析によって、有用な治療法を否定する結果が公表された場合、その結論が懐疑的なものであっても、医師や患者の判断に少なからず影響を及ぼす可能性がある
2次解析の実施者は、1次解析者に比較して、データ構造やデータの取り扱いの理解が不十分であり、誤解に基づく誤った解析が行われる恐れがある
悪意をもった、故意による不適切な2次解析
>  不適切な解析結果によりリスクを誇張することで、データ提供会社に対する攻撃の手段となり得る
>  2次解析者ともとの臨床試験にかかわった者との間のやり取りが、知的財産情報や商業的情報を引き出す手段として使われる可能性

被験者のプライバシー侵害や個人情報関連の規制に抵触する恐れ

共有したデータから被験者が特定され、被験者のプライバシー侵害が発生する恐れがある
プライバシー侵害が起きないよう厳密にデータの匿名化/非特定化処理[3]を行おうとすると手間・コストの増大、データの有用性の低下(情報量の低下)につながる
個人情報をめぐる規制強化や世論の高まりを受け、たとえばEU一般データ保護規則(GDPR)[4]が適用となるケースでは、GDPRに違反しているとみなされた場合に制裁金が科せられる可能性がある。また、不適切なデータ取り扱いとして問題化した場合、当該企業の社会的信用が毀損されるだけでなく、その後の治験への参加同意が得られなくなる等の影響が出ることも考えられる

臨床試験実施のインセンティブ低下

CTDSがあまりに有益であると、臨床試験に多大な時間とリソースを費やすインセンティブが低下する。新しい臨床試験が減少し、結果として共有する臨床試験データが枯渇してしまい、CTDSの有用性低下にもつながる

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データの匿名化/非特定化処理にはさまざまなものがあり、処理されたデータが個人情報にあたるか否かその解釈を含めて幅があるが、本稿においては、データにひもづく本人が特定されるリスクを低減するため本人の特定を困難にする処理の意味で用いる。

CTDSに関するグローバル動向

2017年6月に、医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)が「Data Sharing Statements for Clinical Trials: A Requirement of the ICMJE」[5]という加盟雑誌への投稿条件に関する声明を発表しました。2018年7月1日以降に投稿される論文にはデータ共有に関する陳述(data sharing statement)を含めること、および2019年1月1日以降に被験者登録が開始される臨床試験の登録情報にはデータ共有計画(data sharing plan)を含めることを義務化したもので、製薬企業各社で対応が進んでいるようです。たとえば、ClinicalTrials.gov[6]では「Plan to Share IPD」が記載されている試験が増えてきています。また、国際製薬団体連合会(IFPMA)がIFPMA Principles for Responsible Clinical Trial Data Sharing[7]を公表し、「責任ある臨床試験データ共有の原則」にあるCTDSへのコミットメントが、もはやEFPIA/PhRMAだけではなく、製薬協をはじめ、IFPMAに加盟する全世界の製薬団体が取り組む課題となったこともCTDSを後押しする要因となっています。

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