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革新的医薬品創出の担い手に関する調査
―世界売上上位医薬品の起源分析より―
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長寿国日本では、国が主導して国民の健康寿命の延伸の実現に向けた取り組みがなされています。世界を見渡してみても、地域にかかわらず多くの国々で平均寿命の延伸が認められています。その要因の一つとして、新しい医薬品の開発や医薬品アクセスの広がりが寄与しているものと考えます。特に医薬品の開発には複雑なプロセスと長い期間を要しますが、そのプロセスの初期段階で医薬品の創出にかかわっている担い手について調査を行いました。

人々の健康維持に欠かせない医薬品、特に医師の処方が必要な医療用医薬品の新製品(新薬)は、長期間にわたる研究 開発プロセスを経て創製されます。新薬開発を志向する製薬企業が加盟する業界団体、製薬協では、新薬(低分子化合物)を1つ製品化するために要する化合物数の調査を行っており、2016年に行った最新の調査では、2万5956化合物という結果でした。2003年は1万2324化合物となっており[1]、約15年間で新薬創出効率が2分の1に低下したことになります。一方、研究開発に必要な1社当たりの費用(年額)は、2003年(612億円)から2016年(1301億円)の間に2倍に増加しました[2]。これらのデータは、新薬ビジネスが、近年特にハイリスクなものであることを端的に示しています。
 この期間に日本で承認された新有効成分含有新薬は438を数え[3]、着実に医療の質の向上に貢献してきました。しかしその結果として、薬剤による治療満足度の充足度の高い疾患が増し、次世代の新薬に求められる製品特性のハードルが高まったことが、新薬創出効率の低下につながった一因と見ることができます。
 こういった状況に対して、新薬の創出を志向する企業は、積極的に新たな創薬関連技術の開発・導入により打開を図ってきています。一例として、遺伝子組み換え技術、遺伝子解析技術、3次元構造解析技術や、抗体医薬、核酸医薬、細胞医薬といったモダリティの多様化等が挙げられます。
 これらの新技術は、利用可能となった当初から、新薬創出能力の強化を約束するものであったわけでは決してなく、長い期間にわたる試行錯誤を経て、その有用性が認められたものが創薬基盤技術として広く利用されるようになってきました。その過程の中で、評価の定まっていない段階で積極的に新技術に基づいた創薬にチャレンジし、試行錯誤の主役を担ってきた代表格がいわゆるバイオテック企業です。
 医薬産業政策研究所前主任研究員の高鳥登志郎氏らは、1997年から2007年までの11年間における世界売上上位100位までの医療用医薬品(ワクチンを含む)を対象に、それらの創出起源企業を調査し、その結果、製品ポートフォリオが充実する等、製薬ビジネスの基盤が確立した製薬企業を起源とする医薬品が常に80%から90%を占める中で、2001年以降はそれ以外の企業(高鳥氏らは創薬ベンチャーと呼称しており、上述のバイオテック企業とおおむね同義)を起源とする医薬品数の割合が年々増加し、その存在感が高まってきたことを報告しています[4]
 今回、最近の動向を知る目的で、2003年から2017年の期間中ほぼ5年ごとに、世界売上上位100位までの医療用医薬品(ワクチンを含む)を対象として、その創出起源企業の動向について調査しました。

mark [1]
製薬協 DATA BOOK 2018
http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/databook/2018/table.php?page=p46-1 (参照:2018年10月5日)
mark [2]
大手10社平均、製薬協 DATA BOOK 2018
http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/databook/2018/p39.pdf (参照:2018年10月5日)
mark [3]
製薬協 DATA BOOK 2018
http://www.jpma.or.jp/about/issue/gratis/databook/2018/table.php?page=p44 (参照:2018年10月5日)
mark [4]
医薬産業政策研究所「製薬企業とバイオベンチャーとのアライアンス ―日米欧製薬企業の比較分析―」リサーチペーパー・シリーズNo.48(2009年11月)
http://www.jpma.or.jp/opir/research/rs_048/paper-48.pdf
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