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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「薬剤耐性に対する日本での取り組み」
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AMRへの国際社会および日本の対応

AMRが世界的に広がる状況に対して、近年、国際社会と日本の取り組みが活発化してきました。2015年5月には世界保健機関(World Health Organization、WHO)の総会でAMRに対するグローバル行動計画が採択され、加盟国は5項目(1.啓発・教育、2.サーベイランス・モニタリング、3.感染予防管理、4.抗微生物薬の適正使用、5.研究開発)について、2年以内に行動計画を立案し、2年ごとに達成状況をWHOに報告することになりました。
 さらに、2015年6月にG7エルマウ・サミットでAMR対策を推進すること、2016年5月にG7伊勢志摩サミットではAMR対応強化が重要との点で一致しました。同年9月には国連総会でAMRに関するハイレベル会合が開催されました。本総会では、「AMRに関する国家計画を策定し、実施するための十分な人材・資金を確保する」等の政治宣言が発出され、国連の場でこのような包括的な合意ができた成果は大きいと言えます。
 こうした中、日本は国際社会の中で重要な役割を担ってきました。医療、農畜水産、食品安全の各分野において、サーベイランス(耐性菌の監視)や抗菌薬の適正使用等の啓発・促進を実施するとともに、日本の行動計画を策定し、分野横断的に取り組む、“ワンヘルス(One Health)・アプローチ”を推進しています。2016年4月には、経済的影響も考慮し、WHOと共催でアジアAMR東京閣僚会議を開催し、協調して対策を推進するイニチアティブを創設しました。また、2016年5月に開催されたG7伊勢志摩サミットで、日本は議長国としてAMRについて国際協力を推進しました。
 日本政府では、グローバル行動計画の5項目に「6.国際協力」を加え、AMR対策アクションプラン(2016~2020年)として取り組んでいます。たとえば日本での抗菌薬の適正使用をより強化するため、「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」を作成しました。医療従事者が患者さんにどのように説明すべきかを、わかりやすく記載しているのが特徴です。
 11月は薬剤耐性月間として、「あなたのリスク ほどよいクスリ」というスローガンのもと、抗菌薬の適正使用に関する啓発・普及活動に取り組んでいます。

日本感染症学会 理事長、東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座 教授 舘田 一博 氏
■講演2
 「AMRの現状と対策-アカデミアの活動を中心に」

日本感染症学会 理事長、東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座 教授 舘田 一博
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AMRの現状

2013年に米国疾病予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は、「耐性菌は人類の脅威」として警鐘を鳴らしました。当時、米国では約200万人が耐性菌に罹患し、2万3000人が亡くなっていると発表されました。30年前、耐性菌は病院内の問題と考えられていましたが、近年では市中、環境、食品等に共通した課題となっており、2014年のWHOレポートでは、新たな概念である「One Health~1つの世界に生きる」がクローズアップされました。2015年には米国のアクションプランの一つとして、ホワイトハウスが耐性菌対策を宣言し、世界的に対策の機運が高まってきました。
 日本では以前から耐性菌対策に対する動きがありました。2013年G8サミットでは、「病原微生物の薬剤耐性問題は人類への脅威」であるとして、Gサイエンス学術会議共同声明を出し採択されました。また中・長期的な視点の抗菌薬開発ビジョンを策定すべく、「Japan Initiative 2013 耐性菌と戦う」と題して、学会、行政、企業が協力して、創薬促進検討委員会を立ち上げました。2014年には「耐性菌の現状と抗菌薬開発の必要性を知っていただくために」として、新規抗菌薬の開発に向け6学会で提言を発表しました。2016年にはAMRは日本だけでなく世界の問題であることを周知するため「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」として、創薬促進検討委員会・抗微生物薬適正使用推進委員会 8学会による提言が出されました。2016年には抗菌薬の適正使用に向け8学会が、「抗菌薬適正使用支援プログラム推進のために」として提言を発出しました。
 さらに、AMR対策アクションプラン(2016~2020年)で大事な方向性が示され、具体的な数値目標がしっかり明記されました。たとえば2020年までの成果目標として、肺炎球菌のペニシリン耐性率を15%以下、黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を20%以下、大腸菌のキノロン耐性率を25%以下、緑膿菌のカルバペネム耐性率を10%以下、大腸菌・肺炎桿菌のカルバペネム耐性率を0.2%以下に維持するとして、高い目標が掲げられました。

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