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低分子医薬品の標的分子と分子量
─過去47年間の上市品からの調査─
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2010年代に入りタンパク質間相互作用を標的分子とする中分子量の薬剤が上市される状況になっており、中分子医薬が今後の創薬研究のトレンドの一翼を担う可能性が考えられます。
 注目される中分子医薬ですが、創薬研究での課題点も挙げられます。製薬企業が保有する低分子用に構築した化合物ライブラリーからは、タンパク質間相互作用を標的分子とするヒット化合物を見出すことが困難な場合が多く、既存の化合物ライブラリーを整備する必要があります。中分子量の上市品は天然物やペプチド構造を特徴としている場合が多いことから、天然物やペプチド構造をライブラリー内の骨格の基盤として、インシリコ技術と有機合成技術を融合しながら、中分子医薬に対応できるように化合物ライブラリーの再構築を行うことが中分子医薬の創薬戦術の1つと考えられます。
 また、中分子医薬品の経口剤としての分子量範囲の限界の課題もあります。たとえば、分子量が2000を超えるような中分子量の薬剤は、経口吸収性や細胞膜透過性が極めて悪化する可能性がありますが、ドラッグデリバリーシステムの技術を中分子医薬に取り入れることで、分子量範囲の制限をかけずに標的組織内や標的細胞内に送達させることが課題解決の糸口になると考えられます。
 このような課題を踏まえますと、中分子医薬が活性化するためには創薬基盤技術の整備が必要であり、一企業ですべて解決できる内容ではないと考えられます。したがって、昨今の国主導の創薬基盤技術整備の範疇において、中分子医薬の活性化を現実的な課題として捉え、企業とアカデミアが融合できる体制を構築し、中分子医薬が活性化するための創薬基盤技術が整備されることを大いに期待したいと思います。

医薬産業政策研究所 主任研究員 戸邊 雅則

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