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米国新政権始動による日本国内製薬産業への影響
─オバマケアと薬価見直しを中心として─
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表1 オバマケア施行に伴う米国製薬産業への主な影響要因[4][6]
表1 オバマケア施行に伴う米国製薬産業への主な影響要因

注:●で示す項目は法令に規定された事項、○の項目はオバマケアの制度設計の段階で定まった事項や施行によりもたらされる結果を示す

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Ian D. Spatz;Health Reform Accelerates Changes In The Pharmaceutical Industry, Health Affairs 29, no.7 (2010):1331-1336 http://content.healthaffairs.org/content/29/7/1331.full.pdf+html

オバマケアの施行に伴って、表1のPOSITIVE欄に示したように、i)処方患者数の大幅な増加による市場拡大という直接的なメリット、ii)低分子医薬品よりも長いバイオ医薬品のデータ保護期間(独占販売期間)の適用、iii)メディケア パート D(詳細は後述)の運用開始以来継続的に議会で議論されている政府による価格交渉権付与条項の見送り、といった間接的なメリットを受けています。その一方で、表1のNEGATIVE欄に示したように、ブランド医薬品を販売する会社を中心に金銭面での大きなコスト負担義務が課せられていることがわかります。
 日本製薬工業協会(製薬協)医薬産業政策研究所(政策研)の調べでは[10]、製薬協会員会社(2017年1月1日現在72社)のうち、9社が米国内でブランド医薬品の自販体制を有しています。9社のうち、米国において販売する主要な医薬品の売上高に関する情報を公表している6社の2015年度におけるブランド医薬品売上高実績は、連結総売上高合計の27.8%にあたる1兆4700億円(6社の計44製品の合計)[11]でした。これら各社がオバマケア施行に伴って受けるメリット、デメリットの詳細を知ることはできませんが、少なくともメディケアあるいはメディケイドで処方されるブランド医薬品を販売している限りは、一定の影響を受けていることになります。
 前述のように、オバマケアに関するPPACAとその関連法令が、さまざまなヘルスケア関係者に対して広範に影響をもたらしているのに対して、AHCA法案は、オバマケアにおける医療保険の購入義務や購入条件に関する規定と、貧困層や障害者等を対象とする公的医療助成制度であるメディケイドに対する連邦政府のかかわりに関する規定の見直しが主要点となっています[2]。製薬産業側に直接関連する点としては、表1のNEGATIVE欄で示した、規定されたブランド医薬品(含むバイオ医薬品)の売上高に応じた課金に関する規定の廃止が該当し、プラスの効果をもたらすことが期待されます。一方、オバマケアによる保険未購入者数の急速な減少傾向が減速するだけではなく、再び増加してゆくことが想定されており、間接的には、処方対象患者数の伸びの鈍化あるいは減少というマイナスの効果が懸念点と言えます。
 加えて、間接的なメリットであるメディケア パート Dにおける政府の直接価格交渉権付与条項の見送りに対する見直しとなる法案(Improving Access To Affordable Prescription Drugs Act、以下、APD法案)[12]を、下院民主党が議会に提出しており、論議の行く末次第では、大きなネガティブな影響となり得、予断を許さない状況です。

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日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所、活動概況調査(2014年度、2015年度)、非公表
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2014年度、2015年度、各社決算短信補足資料、決算説明会資料を基に医薬産業政策研究所にて集計

メディケア パート Dにおける政府の直接価格交渉権(薬価引き下げ)

メディケアは、65歳以上を対象とする公的健康保険で、そのうち外来処方される医薬品に関する保険部分がパートDと呼ばれています。居住する州単位でメディケアが許可した購入可能な保険プランが複数の保険会社によって用意されており、2016年には、1州平均で26種類のプランが用意されていたと報告されています[13]。プランにより保険で償還される医薬品の種類や支払い条件が異なることがあり、被保険者(保険購入者)は、自らプランを選択する必要があります。プランごとに定められている償還医薬品リスト(フォーミュラリ)に収載する医薬品に関して、次のような規定が定められています。

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Jack Hoadley, Juliette Cubanski, and Tricia Neuman;Medicare Part D: A First Look at Plan Offerings in 2016, Kaiser Family Foundation, Oct 13, 2015. http://kff.org/medicare/issue-brief/medicare-part-d-a-first-look-at-plan-offerings-in-2016/(参照日:2017/01/31)
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