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米国新政権始動による日本国内製薬産業への影響
─オバマケアと薬価見直しを中心として─
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財政制度等審議会等で政府目標の一つである2020年以降のプライマリーバランス黒字化等を目指した歳出抑制政策のいっそうの強化が議論される中、いわゆる「高額薬剤」問題に端を発した薬価制度の抜本改革の実行が求められており、製薬産業は、過去に経験のない強い逆風にさらされています。このような環境下、日本ベースの製薬企業にとって医薬品事業の海外展開は、持続的な企業成長に向けたビジネスオプションとしての重要性がさらに高まっています。世界で最も医薬品市場の大きな米国は、その対象国として非常に魅力的ですが、本年初頭に行われた政権交代により、現在の医療政策の根幹であるオバマケアの見直しの議論等が進められており、今後の動きから目が離せません。

2017年1月20日に、米国の政権がオバマ氏からトランプ大統領に移りました。その後、速やかに選挙公約の一つであったオバマケアの見直しやTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱に関する大統領令が発令されました。そのほかの選挙公約、就任演説あるいは当選後に示された数々の政策に関連した発言内容にも、各種産業活動にかかわる政策の大幅な転換を求めるものがあり、米国内外産業界に波紋を投げかけてきました。
 ヘルスケア産業も例外ではなく、優先政策の一つとなっているオバマケアの見直しに加えて、メディケア[1]に基づき投薬される医薬品に関し、政府による交渉を通じた価格の引き下げに言及する等、製薬産業の業績に対してネガティブな施策が模索されています。たとえば、オバマケアの見直しに関しては、“American Health Care Act of 2017“として共和党より提出された法案(H.R. 1628、以下、AHCA法案)[2]が2017年5月4日に米国議会下院を通過しました。引き続き上院で審議されますが、諸報道によると、上院共和党の一部が本法案に批判的であると伝えられており、法案通過の可能性を見通すことは困難な状況ですが、通過した場合、その影響が今から懸念されるところです。
 そしてそれは、日本における医療用医薬品市場環境の好転に大きな期待が望めない中、積極的にビジネスの場を海外に求めている研究開発志向型製薬企業[3]を中心とする国内製薬産業にも波及することは避けられないとみられることから、その影響について検討しました。

mark [1]
http://obamacarefacts.com/(参照日:2017/01/31)
mark [3]
医薬産業政策研究所、「研究開発志向型製薬企業の業績と課題」、政策研ニュース No.48(2016年7月)

オバマケアの見直し

オバマケアは、Patient Protection and Affordable Care Ac(t PPACA)[4]を法令の柱とする新健康保険制度で、医療費の高騰等による財政問題への対応と、2013年時点で米国全人口の約16%にあたる約4400万人ともいわれる健康保険未加入者[5]に対して、手頃な費用で一定の品質の医療アクセスを可能とすることを主な目的としたヘルスケア改革です(2016年1Q時点:未加入者率8.6%)。
 PPACAとその関連法令(一部の条項がPPACAにより修正されている)では、被保険者(保険購入者)を中心に、保険会社、医療機関、製薬会社、医療機器会社等あらゆるヘルスケア関係者にかかわる医療サービスの提供から、その費用負担と財源に関連する事項、さらには関連する企業活動にかかわる事項までを幅広く規定しています。それらの中から、オバマケアの施行により製薬産業に影響する主要な要因について表1にまとめました。基本的には米国内でバイオ医薬品を含むブランド医薬品事業を行っている会社への影響が最も大きくなっています。

mark [4]
http://housedocs.house.gov/energycommerce/ppacacon.pdf(参照日:2017/01/31)
mark [5]
http://obamacarefacts.com/uninsured-rates/(参照日:2017/01/31)
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