製薬協について 製薬協について

Top News | トップニュース

最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前 pdf
179号タイトル
前へ12345678910111213141516次へ
top_news
「第29回 製薬協 政策セミナー」を開催
line03 line03 line03

森光 一連の治療の中でどのような重みをもつか、役立っているか、医薬品の価値とは患者さんが病気にかかってから通常の生活に戻るというプロセスにおけるこれらの点にあると考えています。厚生労働省が2015年に提案したアカデミアと企業との協働スキームであるクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)は、基本的には新薬開発費用の引き下げを目的としていますが、これが機能して基盤整備が進めば開発期間が短縮し、患者さんの手元に新薬をより早く届けることが可能になります。
宮田 価値観が多様化する中で、持続可能性という観点も交えた創薬が求められている一方、稀少疾患の治療薬の開発が重要な課題となっています。 開発できたとしても企業の収益に結び付かない可能性の大きい稀少疾患治療薬について、AMEDではどのように考えているのですか。
末松 稀少がんを含む稀少疾患、あるいは多剤耐性菌(AMR)に有効な薬剤を民間の製薬企業が研究開発の対象にしづらいのは事実です。これを公的な資金で後押しするのがAMEDの基本スタンスです。
宮田 畑中会長は、稀少疾患の治療薬開発に携わった経験をおもちだとうかがっています。
畑中 私どもの会社では、患者数が日本全国で一桁台という稀少疾患の治療薬開発を経験しています。これは未承認薬開発促進スキームに従って行ったものです。私どもの会社だけでなく、製薬協加盟各社が協力して積極的に取り組んだ結果であり、ここ数年は学会等の要望にも応えられるようになっています。このような状況にはあるものの、一般論として、一企業では取り組みきれない新薬開発については官と民のパートナーシップや公的資金提供、あるいは研究開発が継続できる形でのインセンティブが必要だと考えています。

創薬イノベーションにおける日本の強みと弱み

宮田 森社長は、2014年の薬事法改正を機に本社を米国から日本に移転させたとのことですが、この日本の環境変化は患者さんにとってどのような意味をもつとお考えですか。

慶應義塾大学医学部医療政 策・管理学教室 教授の宮田 裕章 氏
サンバイオ株式会社 代表取締役
社長の森 敬太 氏

 2014年薬事法改正の重要なポイントの一つは、「再生医療等製品の条件及び期限付承認制度の創設等の所要の措置」を講じたことです。この法改正により再生医療製品の開発期間が半分以下に短縮され、患者さんの手元により早く製品が届けられる可能性が出てきました。現在、弊社が日本と米国とで開発治験を行っている製品は、おそらく世界に先駆け日本で最初に承認されることになると予想しています。
宮田 再生医療製品については、法的整備の中で速やかな承認が可能になったということで、これは創薬イノベーションにおける日本の強みと言えます。他方、末松理事長のご講演にありましたScience誌の指摘のように、この国には「Balkanization」という弱みがあるのも事実のようです。パネリストのみなさんは、創薬イノベーションにおける日本の強みと弱みをどのように捉えているのでしょうか。
末松 日本の一番の強みは、臨床現場で医師が正確な医療データを誠実かつ厳格に収集し蓄積していることです。一方、最大の弱点はそれを日本語で行っていることです。
宮田 確かに、使用言語は大きな問題です。森光課長はどのように捉えていらっしゃいますか。
森光 極めて層の厚い基礎研究が日本の強みだと考えています。ただ、その強みを臨床研究に活かしきれていない。厚生労働省にとっても日本の臨床研究の底上げは重要な課題であり、支援体制に対して批判を受けているところです。ただ、諸外国に比べ、日本の実際の臨床現場の質は高いレベルにあり、かつ均質です。これは大きな潜在的優位性だと考えています。
宮田 基礎研究でしか博士号を取れないという状況が、臨床研究や応用研究の弱体化を生んできた要因の一つだと思います。森社長、米国との比較においてどのようにお考えですか。
 弊社が当初米国を拠点としたのは、2001年当時、革新的な治験を行える環境が日本になかったからです。シリコンバレーで開発治験に着手したところ、日本の技術の高さについて現地の研究者から賞賛を受けました。その流れで開発、製造、販売を、米国を拠点に行っていたのですが、先ほども申し上げたように、2014年に薬事法が改正され、早期承認という点での米国の優位性はなくなりました。なお、「Balkanization」は日本特異的な弱みではないと考えています。その存在は、ベンチャー企業が強みを発揮するうえでむしろ有利な環境と捉えています。
宮田 ベンチャーの覚悟を実感するお話しをいただきましたし、そのような企業をどのように取り込み育成するかということも、日本の創薬イノベーションにおける大きな課題の一つだと感じました。畑中会長、日本に創薬開発の障害があるとすれば、それはなんでしょうか。

前へ12345678910111213141516次へ
最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前

このページのトップへ