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「第29回 製薬協 政策セミナー」を開催
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医療における「Balkanization」

従来、次世代シークエンサーを利用すれば、医療がすべて良くなり、個別医療が実現できるという幻想に似た期待がありました。これに関係してScience誌の先ほどの記事は痛烈に批判しています。「文部科学省が導入した次世代シークエンサーがどこの大学に設置されているかを、病院を管轄する厚生労働省はまったく知らなかった」というのです。つまり、患者さんや臨床医は次世代シークエンサーによる成果を強く求めているのですが、シークエンサーの情報を管理する担当者は臨床医や患者さんにどのような問題とニーズがあるのかをまったく知らないのです。これは悪意や怠惰に基づくものではなく、知る方法がなかったからです。両者のコミュニケーションが取れていなかったのです。研究者と省庁の間も同様です。研究者は自身の研究が唯一無二のものだと思いがちで、自分の研究テーマ以外には意識が向きません。私もかつてはそうでした。大学と産業界の間はどうでしょう。これも同様で、「良いシーズができたね、共同研究しましょう」となっても、お互いが考えているシーズの定義がまったく違うのです。日本には、複数の有力な国立大学が比較的狭い地域に集中している場合がありますが、これらの大学が協力して1つの成果を出そうとすることはありませんでした。このように大学間にも「Balkanization」は存在します。
 では、医学以外のサイエンスの領域はどうでしょうか。最近、地球から38光年先に地球型の惑星7つを含む恒星系が発見されました。あの発見は、ハッブル宇宙望遠鏡等の少数の観測機器からのデータを世界各国の天文学者が共有し、それぞれの国から論文を出すことで得られた成果だといいます。

AMEDがより良く機能するために

AMED発足時の懸念の一つは、関係3省庁からの人材が十分に融合して機能してくれるかどうかでありましたが、これは杞憂に終わり、「研究費の機能的運用」のルールの見直しも比較的短期間に進んだことは喜ばしいことでした。しかし、AMEDの業務を加速するには、以下のような問題の解決にあたらなければなりません(図1)。

図1 AMED創成期の改革目標
図1 AMED創成期の改革目標

1つ目は、国際的な協調関係・協力関係とそれに関連する測定や分析方法の標準化です。職員はそれぞれ懸命に調整にあたるものの、省庁の常として2年ごとの人事異動で顔ぶれが変わるたびに、海外等の担当者が誰になにを言って良いのかわからなくなるという事態にこれまで何度か陥ってきました。やはり、国と国できちんと協定を結び、情報共有・情報交換を行い、経験を共有する。それが必要ではないかと考えています。米国の国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)と協定を締結し、さらに2017年2月に英国の医学研究会議(Medical Research Council、MRC)と基礎研究を中心とする協定を結んだのも、この流れに沿ったものです。大学にも改革が必要なことは、先ほど申した通りです。

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