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「第8回 環境技術研修会」を開催
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国際航業株式会社 営業本部 法人営業部 環境サービスグループ グループ長 坂本 大氏
■ 講演2

「生物多様性、対応のアイデアと事例紹介」
国際航業株式会社 営業本部 法人営業部 環境サービスグループ グループ長 坂本 大
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はじめに

 2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を受けて、今後、各事業者がこれまで以上に取り組みを強化するものと仮説を立て、その準備を進めてきました。しかし、翌年に発災した東日本大震災によって、事業者側のこうした動きは大幅にシュリンクすることになりました。
 その後、2015 年 9 月にISO14001 の 2015年版が発行され、「環境」の定義に「生物多様性」、「生態系」が入り、環境方針については、「環境保護」に関する持続可能な資源利用、地球温暖化、生物多様性保全等へのコミットメントを加えることを求めてきました。また同年同月には、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が世界の共通目標として掲げられました。
 さらにその年の12月にはパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択されまし。2015年は、世界の進むべき大きな方向性が示された年であり、同時に企業は持続可能性を強く意識せざるを得ない年となったといっても過言ではありません。そうした中、生物多様性を意識した企業活動を模索する動きは、極めて必然な流れでありました。

企業活動と生物多様性との関係

初めに検討すべきことは、自社の企業活動が生物多様性にどうかかわっているのか、すなわち「原材料調達」、「設計・製造」、「輸送・販売」、「使用・保守」、「回収・リサイクル」といったサプライチェーンのどのステージが生物多様性に大きくかかわり、影響をおよぼしているのかを整理することになります。それを踏まえて、優先して取り組むべき項目をピックアップして、対応を検討するとわかりやすくなります。たとえば、自然資本に原材料を大きく頼る飲料や食料品等の業種・企業は、持続的に調達できるよう、宿命として保全活動等に取り組むケースが多いです。これは取り組むべき意味が説明しやすく、経営トップを含めて従業員が納得しやすいといった側面もあります。
 ただし、原材料調達等のステージは、製造の品質・コストに大きく影響するだけに、環境部門だけで原材料の調達にかかわるには、組織における責任上困難な場合も多くあります。生物多様性の保全活動は、そもそも定まった定義はなく、業種業態によって大きくその位置付けが異なります。たとえば、製造過程において水を多く利用する企業であれば、そうした水の量、または質に配慮する従来の環境保全活動を、地域の生物多様性への保全活動と位置付けるなど、従来の環境活動を生物多様性の視点から見直して、そのたたずまいを変えることも取り組みの一つと見なすことができます。

工場敷地における生物多様性保全活動の取り組み

本社から各工場の担当者に対し、取り組みを検討するよう求められる担当者は、サプライチェーンに踏み込んだ対応は困難であるため、工場敷地のたとえば緑地等でできることを検討することとなります。しかし、担当者も専門家ではないため、どう対応すべきか、どこまですべきかがわからず、結果として対応になかなか踏み切れないことが多くあります。
 しかし、企業が工場敷地においてこうした保全活動に取り組むことには、大きな意義があると考え支援しています。これは、「従業員への環境意識啓発」、「情報発信によるレピュテーション・環境ブランドの向上」、「地域との交流」といった観点のほか、周辺の宅地開発等による緑地の減少に対して、工場敷地は、第三者の立ち入りやセキュリティが確保され、一定の緑地が保護されていることから、地域の中で動植物の保護区域(サンクチュアリ)としての機能を有する場合があるためです。
 工場敷地は、地域にとって生産に伴う環境負荷を発生させるだけではなく、環境への良い影響を与える可能性を秘めている場合があります。そのことが地域住民や社会に発信できれば、企業価値向上に大きく寄与できるのではないかと考えられます。

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