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「第3回 コード・コンプライアンス管理責任者/実務担当者会」を開催
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表4 松井健志氏の自己紹介
表4 松井健志氏の自己紹介

研究倫理とは

日本では、これまで基礎研究者が多く、臨床研究にはあまり力が入れられてきませんでした。そのためか、「研究倫理」を「研究公正」と同じものとして捉えることが一般的であったと思います。しかし、私が主に携わっているのは「integrity」の問題ではなく、「ethics」の問題です。すなわちそれは「価値」と「価値」の対立・衝突、それによるジレンマの問題です。たとえば臨床倫理の問題であれば、患者さんの意向・選好と医師が最善であると思う治療がずれている場合に、価値と価値の対立が生じますが、そうするとそこに倫理の問題が出てきます。こうした倫理課題のうち、研究の中で生じる問題を考えるのが研究倫理です。研究公正も研究倫理の一部ではありますが、あくまで一部であり、研究倫理の主眼は被験者保護にあり、被験者を保護しつつ研究をどう進めていくのか、というところに主眼が置かれています。

倫理とは

「倫理」という言葉は、それが問題になっていない限りは、われわれが目にすること耳にすることはありません。逆に、今の世の中で倫理という言葉をよく耳にするのは、それだけ倫理が問題になっているということを意味しています。
 倫理の「倫」は仲間であり、「理」は決めごとです。倫理とは人という集団での仲間内のルール、人間社会集団において守るべきルールであるとともに、その実践もまた倫理です。似たような言葉に「道徳」がありますが、道徳は、倫理を構成する一人ひとりの人間の内面の問題により深くかかわる概念であり、個人の自発的な内面的原理として、どういうルールに従うべきか、どういう価値観に従うべきかということを問うものと言えます。したがって、人によって道徳の捉え方、あり方には差異があります。一方、たとえ集団の中で一人ひとりの道徳的な考えにずれがあったとしても、仲間として共有すべき価値観やルールはそれとは別に「倫理」としてあるということです。
 倫理の中には、公権力による強制を伴った法というものが含まれますが、あくまで法は倫理のごく一部を構成するものに過ぎません。法というのは最低限の倫理とも言われますし、また、犯せば罰せられるというものです。しかし法を犯さなければ社会はそれで良いかというと、そうではありません。倫理はもっと広いものを要求あるいは許容している概念です。したがって、法だけで社会のルールを考えるのは不十分です。法に基づいて倫理指針が作られている場合もありますが、多くの倫理指針はあくまで自主規制です。ただし、日本では行政の出す指針が主であり、それらは行政が望むルールでしかありません。その意味では、自主規制と言いつつも、日本のレギュレーションは“御上任せ”というところがあります。
 倫理学とは、なぜ社会はある事柄に一定の価値を見出し、社会として守るべきものとして捉えているのか、そのことの根拠を問う営みです。みなさんは私のように学として行う必要はありませんが、同じように「なぜある行為をわれわれは善い・悪いと思うのだろうか」、その根拠・理由について考える癖を身につけていただきたいと思います。

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