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「第20回 省エネ・温暖化対策技術研修会」を開催
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小野島 一 氏
■ 講演3

ZEBへの取り組みとスマートエネルギーシステム
株式会社 大林組 技術本部 統括部長兼 スマートシティ推進室長
小野島 一
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1.はじめに

2015年12月に合意をみたCOP21(パリ協定)において、日本は温暖化対策として高い目標を掲げることになりました。日本の民生部門はエネルギー消費の3割を占め、他部門に比べ増加が顕著であることから、徹底的な省エネルギーの推進はわが国にとって喫緊の課題となっています。また、東日本大震災における電力需給の切迫や国際情勢の変化によるエネルギー価格の不安定化などを受けて、エネルギー・セキュリティーの観点から、建築物のエネルギー自給(自立)の必要性が強く認識されました。このような背景から、「エネルギー基本計画(2014 年4月閣議決定)において、「建築物については、2020 年までに新築公共建築物などで、2030年までに新築建築物の平均でネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を実現することを目指す」とする政策目標が設定されました。
 ZEBの実現・普及は、エネルギー基本計画などの目標の確実な達成が求められている状況において重要なテーマとなっています。

2.ZEBの定義

2015年12月、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー対策課「ZEBロードマップ検討委員会」より、ZEBの定義について方向性が提示されました。
 ZEBとは、「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入などにより、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」とすると定義されました。
 対象となるエネルギー消費量は、空気調和設備、機械換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機などでコンセントは対象外となり、再生可能エネルギー量の対象は敷地内に限定し、自家消費分に加え、売電分も対象に含めることになります。今後、各種用途の建築物での対応や、改修などへの対応、既存建築物への対応などが展開されていくと考えられます。

3.ZEB実現に向けての課題

マーケットにおいてZEBを普及させるためには、実現のための追加コストと、光熱費削減やBCP性能などの事業主やテナントに対する便益を明確にする必要があります。そのためには省エネな建物(ZEB)であることを、マーケットにおいて不動産価値として評価してもらう必要があり、先般、改正省エネルギー法においても建物価値表示制度が制定されています。海外では実施済みですが、日本ではエネルギー性能が不動産価値に評価されてきませんでした。今後は市場にZEBが認められていくよう、健康や知的生産性など建物に対する新たな環境価値も創造しながら市場への働きかけが必要となります。

4.大林組の取り組み

大林組ではZEBの先駆的事例として2010年9月に大林組技術研究所「本館 テクノステーション」を竣工しました。最先端の設計主旨は、 安全安心、 最先端の環境配慮、 研究環境の実現であり、 低炭素建築としての数値目標CO2排出量マイナス55%を公開し実現するとともに、環境設計と空間デザインの融合を図りました。研究施設は、ワンボックス型のワークスペースとコミュニケーション活性化のため場の選択性にも配慮しました。パッシブ建築として自然採光、窓周りの環境計画、自然換気、パーソナル化空調を実現しています。2014年度には一次エネルギーベースでのエネルギー収支はマイナスになり、ZEBを実現しました。また、年間4000人の見学者を受け入れており、省エネルギー技術教育の面からも社会貢献を行っています。

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