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「第28回 製薬協政策セミナー」を開催
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大西 2015年12月に、「ベンチャー懇談会」が立ち上げられました。新薬創出におけるベンチャーの役割が世界的に高まっている中で、日本ではそうした流れが進んでいないとの指摘もあります。しかし、薬価制度が異なるアメリカなどと日本を公平に比較することは難しいと言えますし、少なくとも日本のベンチャー企業には、日本型医薬品産業の特性に合った取り組みが求められます。この懇談会では、日本の強みを活かした新薬の創出に貢献していただくためには、ベンチャー企業にどのような支援が必要なのかを検討していただきました。
 一方、AMEDは、厚生労働省、文部科学省、経済産業省に分散されていた各種研究開発の支援策を、一元化して管理、運用する機関です。日本の創薬においてより力を入れるべき領域を特定し、一元的な司令塔として補助等もできるようになりましたので、これは非常に意義のある機関、機能になっています。
 「ベンチャー懇談会」のメンバーには、アメリカのベンチャー企業で成功した経験をお持ちの方もかなり含まれていますが、彼らは口をそろえて「日本の基礎研究水準は素晴らしい」とおっしゃっていました。ですから、その高い基礎研究水準を日本の強みとして活かしていけるように、つまり、実用化に結びつけていくことがAMEDの担う大きな役割だと思います。言葉を換えれば、アカデミアの中にあるシーズを、製薬企業がうまく育て上げられるように支援、補助するということでもあります。
 厚生労働省では、企業とアカデミアのそうしたマッチングをよりスムーズに行えるような施策の導入も検討しています。また人材の確保が難しいとの声も聞かれますので、外国の研究者や外資系企業のOBなども含め、製薬産業の経験者を幅広く登録する人材バンク事業の立ち上げも計画しており、そのための経費について概算要求もしています。
 厚生労働省が展開している施策としては、医政局経済課を中心とする産業振興施策や、保険局を中心とする医療保険政策などがあります。薬事に関しては、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認審査プロセスが大きく改善されています。さらに厚生労働省では、PMDAの承認審査プロセスと保険収載のプロセスを併せて企業にコンサルティングする、保険・薬事連携相談事業も立ち上げる予定です。医療保険制度、薬事、産業政策をいろいろなかたちで組み合わせ、今後も総合的に新薬創出支援を行えるように努めていきます。
三田 厚生労働省ではさまざまな取り組みをすでに開始されているとのことですが、製薬企業、製薬業界は行政にどのようなことを期待されますか。

日本製薬工業協会の畑中 好彦 会長
日本製薬工業協会の
畑中 好彦 会長

畑中 行政にまず期待したいことは、われわれが事業を行っていくうえでの環境整備、特にR&D投資におけるリスクの判断がしやすい環境の整備です。また、日本のマーケットが伸び悩んでいる中では、国際展開を考える必要がありますから、国際展開がしやすい環境の整備もお願いします。
 具体的には、知的財産を適切に保護していただくことや、規制の調和に対してイニシアチブをとっていただくことです。もう1点は、先ほども大西課長からお話がありました、患者さん、疾患、治療などの膨大なデータを統合したナショナル・データベースの構築です。そうした取り組みは1企業ではできません。AMEDの拡充と合わせて、ナショナル・データベースを早急に整備していただくことが、製薬企業、行政、アカデミアなどが抱える多くの課題の解決につながる第一歩だと考えています。

自社の強みや弱みを明確化する必要がある

三田 「ベンチャー懇談会」のメンバーにはアメリカで経験を積まれた方が多いとのお話でしたが、わが国の製薬産業における人材交流は進んでいるのでしょうか。
大西 アメリカでは、アカデミア、企業、政府機関などを行ったり来たりする人材移動が非常に盛んです。一方、日本では大手製薬メーカーに就職した優秀な社員は、ずっとそこで働き続ける傾向が強く、ベンチャー企業に再就職しようという人はなかなか現れません。そのため、日本のベンチャー企業は人材確保に大変苦労していると「ベンチャー懇談会」でもお聞きしました。
 実は、「ベンチャー懇談会」は、ベンチャー振興をうたっていますが、振興策の対象はベンチャー企業だけというわけではありません。製薬企業にとって有用な事業もたくさんありますので、製薬協に加盟されている会員会社にもぜひご参加いただきたいと思っています。それが、人材交流を促すきっかけにもなるのではないかと思われます。
畑中 昔から日本の製薬企業の中では、自社品や導入品という言葉が使われてきましたが、自社品と言ってもアカデミアやベンチャーと一緒に研究して、1つの薬剤を創ってきたという歴史があります。ですから、日本の製薬産業において人材交流がなかったわけではありません。これは、今の言葉で言えばオープン・イノベーションということになります。

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