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「第28回 製薬協政策セミナー」を開催
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学習院大学 経済学部 教授の遠藤 久夫 氏
学習院大学 経済学部
教授の遠藤 久夫 氏

遠藤 現行の制度では、革新性の高い薬剤には高い薬価が付けられる仕組みになっています。薬剤にその費用対効果に応じた価格が設定されていくことは正しい手法だと思います。そうした方向性は今後も維持されるべきでしょう。
 ただし、国の医療費の財源に制約があることは無視できない事実です。そうなると、ほかの薬剤やほかの医療資源全体との関係の中で、イノベーションの評価と国民皆保険制度の関係を考えなければなりません。言い換えれば、イノベーションの推進と国民皆保険制度の維持の両立ということになりますが、そのためには講演でも申し上げたとおり、出口の薬価政策にイノベーションをリンクさせる議論ではなくて、むしろ川上のサプライ・サイド、産学協働の推進やベンチャーの促進をより強力に進めていくことがより重要だと考えています。

新薬創出にはサイエンスの吸収能力が重要

三田 製薬企業がこれまで以上に正確な需要予測ができれば、薬剤費の予見性も高まって市場拡大算定の必要性が減り、製薬企業における経営の予見性も高まると考えられます。そうしたことを支援できるような国の施策はありませんか。

厚生労働省 医政局 経済課長の大西 友弘 氏
厚生労働省 医政局
経済課長の大西 友弘 氏

大西 政府は現在、成長戦略の一環として第4次産業革命の推進を掲げ、AIなどのIT関連分野に力点を置く政策を展開しつつあります。その方針に沿って、厚生労働省も医療分野におけるIT化の推進に取り組んでおり、医療機関がもっているデータ、医薬品産業がもっているデータ、保険者がもっているデータ、国や地方自治体にあるデータなどを統合し、ビッグデータとして活用すべく、各データの標準化を進めています。このビッグデータが活用可能になれば、製薬企業における需要予測をはじめ、薬剤費の予測や医療保険財政そのものの将来予測なども可能になると思われます。
 それと並行して、レセプトや特定健診のデータなどを民間でも活用できるようにするための、ナショナル・データベースの構築も検討されています。その過程では、プライバシーの保護など、解決しなければならない問題もありますが、同様の問題が取り沙汰されたマイナンバーもすでに導入されていますので、そうした事例も参考にしながら、厚生労働省としても医療のIT化の推進に積極的に取り組んでいきます。
三田 創薬の難易度が高まっている中で、日本の製薬企業がより効率的に革新的な新薬を創出し、上市し続けるためには何が必要とお考えでしょうか。
長岡 わが国の製薬企業は、これまでも革新的な医薬品を創出してきた経験と歴史があるわけですから、常に新しい時代を意識した改革を継続していけば、世界の重要な創薬国として今後も存続していくでしょう。重要なことはサイエンスの吸収能力の強化です。アカデミアやバイオベンチャーが有望なシーズを抽出することを、漫然と待っているだけでは創薬プロジェクトはなかなか進みません。先ほど示した事例研究でも、サイエンスが未完成でさまざまなリスクや不確実性があっても、挑戦していく、アカデミアやベンチャーと一緒にサイエンスを耕していくといった姿勢が必要であることを示唆しています。加えて、長期的な視点に立った人材育成や、より開かれた開発環境の構築も、新薬創出を持続するための要件になると思います。
 もう1つ挙げるとすれば、グローバルな治験能力です。これまでも、グローバルなライセンスアウトや共同開発は数多く行われてきましたが、希少疾病になればなるほど、研究開発の成果を自ら国際的にプロモートしていく力が必要になります。国際的なスケールでの販売がサイエンスを吸収、活用する企業投資を促進していくうえでも、エッセンシャルではないかと思っています。
 波及効果に着目した政策的な支援も重要です。特に創薬のパイオニアは非常に大きな不確実性に直面し、これを乗り越えていくことが重要です。しかし、一旦作用機序が確立されれば、その効果を活用してたくさんの企業が参入してきます。ですから、開発後の波及効果も期待できる創薬にパイオニアとして取り組んでいる企業やプロジェクトに対しては、研究開発促進税制などの手厚い助成も必要だと思います。

ベンチャー支援に続き人材バンク事業も計画

三田 昨年、AMEDが設立され、産学官連携による創薬の推進機能が拡充されました。こうした仕組み以外に、わが国の新薬創出を支援する国の施策にはどのようなものがありますか。

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