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「第28回 製薬協政策セミナー」を開催
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大西 現在取り沙汰されている高額薬剤の問題については、たまたま上市されたある新規薬剤が想定以上に売れたことをきっかけに、必要以上にセンセーショナルに取り上げられている印象はあります。高額薬剤の問題は今話題になっている特定の医薬品の問題として解決されればそれで終わりということではなく、今後の医薬品政策において大変重要な課題です。ただ、議論の焦点が定まっておらず、高価格が問題なのか、たくさん売れていることが問題なのか、あるいは、後から効能追加をしていることが問題なのか、まとまりのない議論になっているように思います。個人的には、それら1つ1つの問題を見るといずれもそれ自体が悪いことではないと考えています。議論すべきことは、国民皆保険制度との両立をどのように図ったらよいのかという問題で、国民はそこを一番心配しているのだと捉えています。また、医薬品の高額化がトレンドであるとすれば、研究開発費をいかにコストダウンできるのか、そこに人工知能(AI)を活用できないかなど、高額になる原因の解決法も議論する必要があるでしょう。

東京経済大学 経済学部 教授の長岡 貞男 氏
東京経済大学 経済学部
教授の長岡 貞男 氏

長岡 私は長期的なイノベーションの推進が重要だと思います。たとえば、抗体医薬品などは製造コストが非常に高いわけですが、これまでの他産業のイノベーションを振り返っても、研究開発によって製造コストを下げることは可能だと考えられます。したがって、薬剤価格の設定にもプロセス・イノベーションを促すインセンティブを盛り込む必要があります。
 もう1つは、競争です。これまでも、新作用機序の医薬品には類似品が必ず出てきますし、先発品を超える良い医薬品が出てくることもあります。そうした、2番手、3番手の類似医薬品を速やかに認可して、競争を促すことも重要ではないかと思います。一方、自由薬価の国でも高額医薬品となることは、患者さんが高評価をしていることが高価格の大きな理由であり、自己負担の拡大も無視することはできません。したがって、所得に応じて自己負担を増やしていくという考え方も必要ではないかと思います。

課題はイノベーションの評価と国民皆保険制度の両立

三田 薬剤価格におけるイノベーションの適正な評価の必要性について、製薬協のお立場ではどのようにお考えでしょうか。
畑中 イノベーションを適正に評価していただいて初めて、次の研究開発、新しいアンメット・メディカル・ニーズに応えるための投資が可能になります。すなわち、研究開発原資の減少や、それに伴う新薬創出力の低下を招くことがないように、また、日本市場の魅力低下による革新的新薬の市場投入が遅れるというドラッグ・ラグをなくすためには、イノベーションの適正な評価と研究開発促進というサイクルがしっかり維持されることが重要です。国民の革新的医薬品へのアクセスが阻害されることのないように、われわれ製薬企業も交えた関係各機関でバランスの取れた議論を継続していただければと考えています。
三田 わが国の保険財政の厳しさを考えますと、国民皆保険制度の維持は大きな課題と思われます。イノベーションの評価と国民皆保険制度の維持を両立させるためにはどのような工夫が必要でしょうか。
長岡 日本の保険制度の強みの1つは、同じ薬剤でも所得によって支払い負担の変更が可能なことです。したがって、支払い意欲があり、能力もある人たちには多く負担していただき、新薬が市場に受容されやすいようにすることがまず考えられます。そもそも、優れたイノベーションによって創出された医薬品は、患者への高い効用があるからこそ高価格になるわけですから、そのことが製薬企業にとって画期的な創薬のリスクや不確実性に挑戦していくためのインセンティブになるはずです。そうした認識を社会全体でもつことが、国民皆保険制度を維持するための基盤になると思います。
大西 セルフ・メディケーションの推進も、イノベーションの評価と国民皆保険制度の両立に少なからず寄与するのではないかと考えています。セルフ・メディケーションでは、スイッチOTC薬など、国民皆保険制度の適応外にある薬剤を主に使用することになるはずです。すなわち、医療費の公費負担や国民皆保険制度に影響を与えない薬剤が使われるわけです。幸い、セルフ・メディケーションを推進する目的で、スイッチOTC薬の所得控除制度が今年の税制改正で導入されたので、その効果も注視したいと思っています。

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