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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「グローバルヘルスにおける日本の貢献を探る」
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3.疾患構造の変化

途上国においても子供が少なくなって高齢化が進むなかで、慢性疾患が増えています。心疾患や脳血管障害、悪性新生物、精神障害などが増えているのです。現時点では、アフリカの標準的な病院は感染症や母子保健にしか対応できないシステムになっています。そのため、いかに病院システムを作り変えるのか、慢性疾患に対応できる医師・看護師をどうすれば育成できるのか、さらには高血圧やがんに対応する薬剤をいかに途上国に適応させ、地方部にまで行き渡らせることができるのか、といった新しい課題が生じており、アフリカ各国の元首も疾病構造の変化に対して非常に敏感になっています。今回のTICADでも、多くのアフリカ諸国の元首が日本政府、日本の製薬会社に対して一緒に非感染性疾患(Non-Communicable Diseases、NCDs)対策を進めてほしいという声を上げていました。
 今の時代は、人口構造が変わり、疾病構造が変わり、経済構造が変わる中で、「どうすればより持続可能でより良質な医療サービスが展開できるのか」、「どうすればリスクを予見し、さらにはリスクが発生した際にシステムがそれを学習し、次に備えられるのか」といった、いかに強靭で柔軟な保健システムを構築できうるのかが問われています。これには、ODAをはじめとする政府開発予算のみでは限界があります。民間の力、市民の力、それぞれが持ち味を活かしてシステムを作っていく時代になってきているのです。

4.SDGs時代の新しい解決策

昨年、国際協力団体のOXFAMが「世界の62人の大富豪と36億人の所得が同じであった」とセンセーショナルに訴えました。こうした格差社会の中で、いかに富を地球の未来のために投資できるのか、私たちがSDGsを考えるうえで、惑星意識(Planetary Consciousness)が求められています。グローバルからプラネットの時代になっているのです。地球がどうすれば持続可能な形になるのか、健康問題、環境問題、さまざまな社会課題をそうした視点で、全体的・包括的に考えていかねばならないのです。
 こうした動きの基調となっているのが、2013年にランセットで発表された「Global Health 2035」という有名な論文です。アメリカの財務長官やハーバード大学の学長を務めたローレンス・サマーズが著したものですが、「アフリカをはじめとする途上国・新興国において、健康の増進によって個人の労働期間が長くなり生産性の向上が認められていることを鑑みて、さらに人口ボーナスの恩恵を高めるには、健康に再投資し、労働人口を健康にすることによって国の経済発展に寄与する」ばかりか、「2035年にはODAは必要なくなる」と予見しています。これからは、過保護的な援助による依存体質を作ってしまうのではなく、関税・技術革新・知的財産権といった、市場における問題点を国際社会として是正していくことによって、途上国が安定的に保健に投資を行い、さらなる成長を遂げるようなサイクルを作っていく必要があるのです。
 今日本に求められているのは、NCD増加に対応できる薬剤の供給メカニズムの構築、国際公共財を目指した研究開発とそれを可能にする資金供与システムの構築、疾病構造の変化に対応できる病院機能改革、政府・非政府・民間の枠を超えた対話の推進、市場メカニズムを応用した新しいビジネスモデルです。本当に途上国の人々をパートナー・仲間としてともにやっていくこと、お付き合いではなく、向き合って、相互に利益・学びを得られる関係性にすることが求められています。
 「Think globally, act locally」(地球規模で物事を考え、地域で活動しなさい)とよく言われますが、私は反対だと思っています。「Think locally, act globally」現場で考え、国際社会・地球に向かって良い仕事をしてほしいと願っています。

佐々木 小夜子 氏

「国際保健分野における日本の取り組みと企業の貢献」

製薬協 国際委員会 グローバルヘルス部会 副委員長 佐々木 小夜子

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1.国際保健分野における国際的なイニシアチブ

感染症対策は日本のリーダーシップで始まったといっても過言ではありません。1997年デンバーサミットで橋本イニシアチブが立ち上がりました。その後、日本が議長国を務めた2000年九州・沖縄サミットにて、サミット史上初めて開発途上国の感染症問題を主要議題として取り上げ、沖縄感染症対策イニシアチブとして、5年間で30億ドルの貢献をしていくことが発表されました。こうした感染症分野における日本のリーダーシップがその後の地球規模の取り組みにつながり、2002年のグローバルファンド設立に至りました。

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