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研究開発の生産性・効率性
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包絡分析法を用いた効率性の分析

ここまでの分析では、研究開発費を投入要素とし、研究開発の段階に応じた3つの生産物について生産性を試算しました。また、特許出願日から承認までに要した時間の比較を行いました。その結果、各社の生産性は選択される項目によって異なっており、一義的に評価できません。そこで、これら複数の項目を総合的に評価することを目的として、包絡分析法を用いました。
 包絡分析法は、ビジネスユニットなどの相対的効率性を計測するノンパラメトリックな分析法です[2]。効率的な生産活動を行っているユニット(本稿では企業)の集合から形成される「効率的フロンティア」からの距離によって効率性を計測します。
 包絡分析法の手法を図6を用いて簡単に説明します。研究開発費当たりの特許出願数および承認品目数を例として示しました。この場合、出力(特許出願数と承認品目数)が大きいほうが効率的ですから、G、F、EおよびB社は効率的な企業であると判断されます。そして、これらの点を結ぶ線は「効率的フロンティア」と呼ばれます。一方、効率的フロンティアとX軸およびY軸で囲まれる領域にプロットされるA、CおよびD社は非効率的な企業になります。D社の効率は、まず原点Oと点Dを結ぶ直線の延長線で効率的フロンティアと交わる点Pを求め、OD/OPが効率値となります。
 非効率的と判断された企業の効率を改善するには効率的フロンティア上に目標を設定すればよく、F社とG社はD社の目標となります。効率的フロンティアを形成する企業がどの企業から目標とされているのかは「参照集合」として表されます。





mark [2]
A. Charnes, W. W. Cooper, and E. Rhodes, Measuring the efficiency of decision making units. Eur. J. Operational Res. 2, 429 (1978)

図6 包絡分析法の概念図

図6 包絡分析法の概念図

研究開発費と特許出願から承認までの日数の2要素をインプット(小さいほど効率が向上する項目。図1で分母にあたる項目)、承認品目数、その売上、特許出願数の3要素をアウトプット(大きいほど効率が向上する項目。図1で分子にあたる項目)とし、期ごとの各企業の効率値を試算しました。その結果を表3に示します。
 2004~2007年の期間では、10社が効率的と判定されます(効率値が1)。その内訳は、グローバル企業4社、日本企業5社、バイオベンチャー1社です。「参照集合」の欄にあるように、最も多くの企業から目標とされる企業はG13です。日本企業のJ1、J2、J9はグローバル企業からも目標とされますが、J4とJ8は日本企業やバイオベンチャーから目標とされています。この結果は、それぞれの企業の特長に応じた効率性の判定がなされたことによるものと考えられます。
 効率的と判定される企業は経時的に変化します。全期間で効率的であると判定された企業は日本の2社(J4社とJ9社)ですが、これらの企業を目標とする企業は大きく異なっています。両社がそれぞれの特徴をもって効率性を持続していることが示唆されます。また、直近のB3社は日本の多くの企業から目標とされており、効率性を改善する方向性を考えるうえで参考になる事例であると思われます。

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