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「第40回 環境安全講演会」を開催
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復興のビジョンとして掲げた「将来の繁栄の礎となる創造的復興」においては、4つの原則が置かれています。

被災地域の豊かで安全な生活環境の再興とともに、日本の将来的課題の解決策を示す復興
政府、自治体、企業、NPO/NGO、国民、そして被災地域の人々が連携し、知恵と財源を出し合う協調した復興(被災 地支援+震災経験の共有化による全国の防災力の向上)
低環境負荷、持続性、地域産業再興に配慮した復興
前提条件の再吟味に基づいた復興(想定外をなくすために)

復旧・復興のプランは、事前に検討をしなかったら、災害が起こった後、すぐに出すことは絶対にできません。
 また、地元の人たちはもと通りというけれども、2011年に被災した町を2011年仕様で復旧しても、まったく問題の解決にはなりません。大きく町の課題を改善できる、あるいは解決できるチャンスをうまく利用すべきです。
 また、いろいろなインフラを投じたその維持管理は、次の世代の負担になります。そういう意味でも未来責任を果たす必要があります。
 どんなハード対策をしようが、ソフト対策をしようが、それぞれプラスとマイナスがあります。
 マスコミが否定した防潮堤や防波堤は、津波による浸水を防ぎきれずに、1万8000人超の方(浸水域に住んでいた人口の3%)が亡くなりました。不幸にして亡くなった方々の原因の究明とそれに対しての解決策の提案は重要ですが、併せて、この事前対策によって浸水域に住んでいた97%の方が助かったこともきちんと伝える必要があります。明治時代の三陸大津波の際の事例と比較すると、対策を講ずることによって確実に亡くなる方の割合を減らしていますが、こうしたことはあまり報道されていませんでした。最後に破壊されたものだけを見て、価値がなかったとするのは非常にミスリーディングだということです。
 災害対策基本法において、防災は「災害を未然に防止し」(抑止)、「災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ」(対応)、「災害からの復旧を図ること」(復旧)と定義されています。いざ災害が発生したときに、GDPの4割とか6割の数字の被害を事後対応だけで復旧・復興することはできません。災害が起こるまでの期間を有効活用して、被害を抑止する対策を取って、自分たちの体力で復旧・復興できるまでにダウンサイジングしておく必要があります。
 この法律では、復旧はあるけれども復興はありません。そこがこの法律の課題でもあるのですが、災害が起こったチャンスは、今までの課題を大きく改善するチャンスです。これを有効活用して課題を解決し、復興につなげることが大切です。
 こうしたことを踏まえて提案した総合的な災害マネジメントは次のようなものです。
 まず3つの事前対策として、構造物の性能アップと危険な場所を避けて住むということで被害をそもそも発生させないという抑止力、事前の復旧・復興戦略や防災マニュアルの用意、日ごろの訓練といった備えによって、被害の及ぶ範囲を狭める、あるいは波及する速度を遅くする方法、台風や津波の襲来を事前に予知、検出して警報を出すことがあります。
 発災後は、きちんと被害評価を行い、評価結果に基づいて2次災害の防止と人命救助を行います。その後に、改善型の復旧としての復興を行います。
 事前対策はすべての項目で行うことはできません。通常はリスクという概念で優先順位を付けます。リスクはハザードとバルネラビリティの積で、ハザードは外力の強さと広がりに発生確率を掛けたもの、バルネラビリティは影響を受ける範囲に存在している弱い者の数です。経済的に弱い者、健康的に弱い者など災害は弱い者いじめです。
 リスクコントロールの観点では、災害の程度の高いところに住んでいる人をなるべく災害の程度の低いところに移すことが重要ですが、これまではむしろ逆のことをして、大都市圏の災害の程度の高い場所に人が集中してしまいました。
 人口減少の傾向は、条件の良い場所にも空間ができることになるので、条件の悪い場所の人たちをうまく誘導していくことが重要となってきます。
 現在のマニュアルの問題点は、全体構造として仕事の流れが見えにくい、仕事の量の議論がされていない、災害状況で変化しない、事前利用の機能が弱いなどの点が挙げられます。また、個人の経験が組織に遺伝しない仕組みになっていることが多く、担当者が変わるとリセットされてしまうことも起きています。
 日本のマニュアルは、マニュアルにさえ従っていれば、後々責任を問われなくて済む使い方をしているので後手に回りやすくなっています。本当の有事ではなにが起こるかわかりません。だからこそ、有事であってもやってはいけないことを決めておけばいいのです。それ以外はなにをやってもいい、そういうネガティブリスト作りが必要ですが、日本ではポジティブリスト作りで終わってしまい、これだと本当の有事に対応はできません。

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