製薬協について 製薬協について

Topics | トピックス

最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前 pdf
174号タイトル
トピックス画像
前へ1234次へ
「第40回 環境安全講演会」を開催
line03 line03 line03

2016年4月22日、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)において「環境安全講演会」を開催しました。東京大学生産技術研究所教授の目黒公郎氏が「確実にやってくる巨大地震に備える̶今後の地震防災対策のあり方̶」を、NPO法人森は海の恋人理事長の畠山重篤氏が「森は海の恋人」を演題とした講演を行い、製薬協会員会社の約50名が聴講しました。その講演の概要を報告します。

目黒 公郎 氏

■ 環境安全講演会 1 | 確実にやってくる巨大地震に備える
—今後の地震防災対策のあり方—

東京大学 生産技術研究所 教授
目黒 公郎

line03

今後の防災対策のあり方として、最終的に目指すものは災害レジリエンスの高い社会です。 柔軟性をもった社会は、より効率的に災害に強い状況が作れます。
 社会のレジリエンスを高くするためには、都市のいろいろなインフラや建物、社会システムのレジリエンスを高くすることと、それを使う人のレジリエンスを高くすることが求められます。
 今の日本には、耐震性が不十分な建物が数多く存在しています。地震によってこれらが壊れることによって、人が死んだり、火災が発生したり、経済被害の6割ぐらいを占めたりして、その後の復旧・復興を厳しくしてしまいます。自然災害は自力復興が原則といわれていますが、実際には膨大な費用がかかります。逆に、家がつぶれなければ、そうした費用は要らなくなります。
 耐震補強を推進させる「目黒の3点セット」という、日本全体に対して、長期的に、真に防災に貢献する制度設計の提案では、新しい「公助」、「共助」、「自助」の仕組みを提案しており、トータルの出費を大幅に減らせます。トータルとして大幅に地震の被害を減らすようにしていかないと、本当に弱い人たちを救うことができません。
 自然依存であれ、人間依存であれ、社会にいろいろなマイナス要素となるハザードは、社会のレジリエンスが低い、つまりバルネラビリティ(脆弱性)が高いと、マイナス面ばかりを与えることになります。しかし、同時に恵みというプラス要素を与えるとなれば、そのバランスを見て人が住むようになります。海の恵み、火山による温泉や地熱の利用、観光資源としての恵みなどのプラス要素が挙げられます。防災についても、マイナス面だけでなくプラス面をどうやって実現してコントロールしていくかが問われています。
 現在予測されている被害額は、南海トラフの大地震で220兆円、首都直下地震で95兆円、合わせると300兆円です。日本のGDPが500兆円だとすると、その6割という数字になります。これに対応するためには、平時から事後までのどのタイミングで人、物、金、マスコミを使っていくかが重要になります。
 マスコミは、市民に自律的に適切な対応をとってもらうために必要になります。
 金については、法人に対して適切なインセンティブを与えられる可能性が大きいです。
 企業にとっては、単発的な対応ではなく、災害防止策が現業としてのビジネスにつながる環境作りが大切になります。防災対策のコスト負担からバリュー創出への展開が次のステップの重要なポイントになります。
 人の確保という観点でも、実現するための方法を考えられる人が大切です。ただし、なにかをする場合に、会社での対応からはじめようとすると絶対にうまくいきません。まずは自分自身の災害レジリエンスを高め、次に、家族、仲間、会社という順番で考えなくてはいけません。

前へ1234次へ
最新号目次へ 既刊号一覧2014年5月以降2014年3月以前

このページのトップへ