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「製薬協プレスツアー」を開催
革新的な医薬品創出を目指し、先端的なトランスレーショナル研究を推進する九州大学
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具体例として化学選択的触媒的アシル化反応を挙げます。生体内にも多く含まれる水酸基(-OH)とアミノ基(-NH2)を含む化合物の場合、一般的には反応性の高いアミノ基選択的に反応が進行しますが、ときには水酸基を反応させてエステルを合成したい場合があります。このような際、従来はアミノ基を先に反応させてマスクしてアシル化することによりエステルを合成していましたが、各工程で廃棄物が出ました。それに対して開発したのは、亜鉛(Zn)触媒を用いることにより反応性の低い水酸基選択的な触媒反応です。この反応でエステルを一挙に合成することが可能になりました。この反応の共生成物はメタノールのみでグリーンな反応です。これらは化学の常識を覆す研究成果として、種々の学会賞などをいただいています。
 このような手法を活用して、ターゲットを痛みのほか、がん、循環系に絞り、化合物ライブラリーからリード化合物を見つけ出して合成により最適化を行おうとしています。
 抗うつ剤のデュロキセチンにP2X4阻害作用があることを見出したことは先の津田先生のお話しに出てきましたが、デュロキセチンのさらに高活性なものを見出し、物質特許を取るために共通中間体からさまざまなものを作っていく手法を考えました。われわれが見出した新しい触媒反応の条件では、ほかの部分を壊すことなくさまざまな誘導体の合成が一挙に可能になり、廃棄物は水のみです。そのうちの1つの新規物質がデュロキセチンより、より高活性であることが見出され、特許出願しました。
 最後の例として、最近、カイニン酸の全合成に成功しました。カイニン酸は、アルツハイマー病などの脳神経科学の研究に必須なものですが、天然からの供給に限定されるため1g当たり100万円以上と高価な化合物です。このカイニン酸を安い原料から全6工程(現時点で世界最短)で全合成することに成功しました。現在は、グラムスケールの合成ですが、キログラム単位での合成が可能になれば、世界の需要を満たせるようになります。そこで独自の液体クロマトグラフィー技術を駆使したフロー合成システムを考えて、九州大学発のグリーンプロダクト生産を目指しています。

大戸 茂弘

挨拶

九州大学大学院 薬学研究院 研究院長
大戸 茂弘

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これまで説明した通り、痛み研究、グリーンファルマ研究を掲げてチャレンジしています。そのため、エコファーマ部門とグリーンケミストリー部門を融合してグリーンファルマ部門を設置しました。今後は国際的な痛み研究、グリーンファルマ研究を推進し、世界レベルにしていきたいと考えています。また、産学創育薬ベンチャーの設立も目指しています。

 各講演の後、5階の化学合成セクションを大嶋氏、3階の薬効薬理セクションを津田氏、1階の化合物スクリーニングセクションを同大大学院特任助教の山下智大氏にご案内いただきました。

理学研究院生物科学部門

広津 崇亮氏

線虫嗅覚を用いた高精度がん検出法

九州大学大学院 理学研究院 生物科学部門 助教
広津 崇亮

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ご存じの通り世界で多くの人ががんで亡くなっており、今後発展途上国の生活が豊かになるとさらに増加することが予想されます。日本の場合も死因の第1位です。最近、よい抗がん剤も開発されていますが、なんといっても早期発見・早期治療が最重要であるといわれており、胃がん、大腸がんについてはステージ0、Ⅰの早期がんならば90%前後の5年生存率であり、ある意味、治る病気ということになります。

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