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「製薬協プレスツアー」を開催
革新的な医薬品創出を目指し、先端的なトランスレーショナル研究を推進する九州大学
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津田 誠氏

痛み研究とエコファーマ
-アカデミア創薬におけるグリーンファルマ研究所の挑戦-

九州大学大学院 薬学研究院 ライフイノベーション分野 教授
津田 誠

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われわれが普段感じる「痛み(急性痛)」は大切な感覚で、外界からの危険を回避するために必要です。熱いものを触ったり画鋲を刺したりしたときには「痛み」として感じますが、服が皮膚に擦れるような感覚は「触」刺激として認知し、「痛み」とは感じません。しかし、がん、糖尿病、帯状疱疹などで神経が障害を受けると、「神経障害性疼痛」という慢性疼痛を発症し、服が肌に触れても痛く感じるようになる人がいます。この症状はアロディニアといい、モルヒネでも著効せず、全世界で数千万人もの人が苦しんでいます。
 われわれは、この発現のメカニズムにP2X4受容体というタンパク質が関与していることを発見しました。これは細胞膜に発現しているタンパク質で細胞外のATPが作用すると、イオンチャネルが開き、細胞の中にナトリウムやカルシウムイオンが入り、細胞が興奮します。神経障害性疼痛のモデル動物の脊髄でミクログリアという細胞が活性化しており、P2X4受容体が多く発現していました。
 以上をまとめると正常の場合は、触覚から痛覚に抑制をかけるように働いていて、触ると痛みが和らぐのに対し、神経が障害された場合はP2X4受容体が活性化し、ミクログリア因子が放出されることにより、「触→痛経路」の異常が起き、触ると痛みが出る状態(アロディニア)になっています。
 われわれは、このような基礎研究の成果を九州大学発の創薬につなげていきたいと考えており、産学連携の新薬開発として新規P2X4受容体拮抗薬の開発を行っています。一方でこれには長い年月と莫大な費用がかかるため、「エコファーマ」という取り組みでP2X4受容体阻害作用を有する既承認医薬品を探索し、より早く安全な医薬品を患者さんに届けたいと考えています。P2X4受容体を抑える既存薬探索として2000弱の化合物を検索した結果、いくつかの抗うつ薬がP2X4受容体を抑えることを見出しました。
 以上のように既存薬から新規薬効を見出し、患者さんに早く医薬品を届ける手法としてエコファーマを推進するとともに、その既存薬の化学構造をベースにグリーンケミストリーを展開して新規医薬品の創出をしていくことにより、グリーンファルマ研究を発展させていきたいと考えています。今後、この考えを心血管系や感染症の分野へも広げていきたいと思います。

大嶋 孝志 氏

グリーンファルマのためのグリーンケミストリー
人と地球に優しい医薬品の化学合成

九州大学大学院 薬学研究院 環境調和創薬化学分野 教授
大嶋 孝志

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ご存じのように現在、世界的な環境問題が起きています。たとえば、気候変動、公害問題、環境劣化、資源枯渇などさまざまな問題があり、これに対して国家レベル、個人レベルでいろいろな取り組みがなされています。アカデミアの領域でも環境問題を無視することはできなくなってきています。グリーンケミストリーは一言でいえば、「持続成長可能な、人と地球環境に優しい化学」ということになります。「グリーンケミストリー12箇条」というものがあり、特に核となるのは、「廃棄物は『出してから処理ではなく』、出さない」ということです。
 われわれが目指すグリーンケミストリーは創薬におけるグリーンケミストリーで、創薬において化学は、多様な化合物の迅速合成と医薬品の大量合成という2つの役割を担っています。この2つをグリーンにするというのが、目指しているグリーン創薬です。

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