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臨床試験の被験者レベルデータの共有
-現代的製薬企業であること-
それには臨床試験の情報公開プログラムを欠かすことができない[1]
mark [1]
Richard Sykes (Glaxo Wellcome). 臨床評価2000; 27(3): 509-10
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製薬企業は、新薬を開発する過程の臨床試験で被験者データを収集し、保管しています。企業が実施する臨床試験データのほとんどは、主として規制当局に対する承認申請を目的に利用され、当該臨床試験に関与していない研究機関と共有されることは稀でした。しかしながら、2013年7月に公表された欧州製薬団体連合会(EFPIA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の「責任ある臨床試験(治験)データ共有の原則」を契機に、臨床試験データの2次利用による研究活動が始まっています。本稿では、臨床試験の被験者レベルデータの共有(Clinical Trial Data Sharing、CTDS)に関する解説と、日本を含めた世界の取り組み状況を紹介します。製薬企業のトップマネジメントや臨床試験に携わる人およびCTDSにかかわる企業関係者、ならびに被験者レベルデータの共有を受ける研究者が、CTDSの必要性、留意すべきポイントを正しく理解し、日本におけるCTDS活動が推進する一助となればと思います。

なぜ今CTDSか? -喫緊の課題は臨床試験の透明性確保

臨床試験の被験者レベルデータの共有がなぜ急速に拡大しているかを理解するために、まず、臨床試験の透明性の要求が欧米で強まっていることを把握しておく必要があります。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やインフルエンザ治療薬など、過去に臨床試験の透明性が問題となる事例[2][3]が発生しており、研究機関や市民団体から規制当局・製薬企業への情報公開の請求や企業に対する訴訟を経て議論が活発化し、ヨーロッパ、アメリカの製薬企業は臨床試験のさらなる透明性確保対策を業界全体として迅速に推進せざるを得ない状況にあります。
 臨床試験の透明性の要素は次の3つです。

1. 試験情報の登録
2. 試験結果の公開
  a)試験結果概要
  b)試験結果の論文発表
  c)Clinical Study Report(CSR)シノプシスまたはCSR
3. 被験者レベルの試験データの共有(CTDS)
  1. 試験情報の登録および2. 試験結果の公開については、ClinicalTrials.gov、JapicCTI、EudraCTなどを利用し、業界として以前より対応してきましたが、CSRの公開と被験者レベルの試験データ、いわばデータベースそのものの共有は、日本の製薬企業にとって新しい課題です。
 2013年7月に、EFPIA、PhRMAは、次の5つのコミットメントから構成される「責任ある臨床試験(治験)データ共有の原則」[4]を発表しました。
1. 研究者とのデータ共有(CTDS)の強化
2. 臨床試験情報への一般アクセスの強化
3. 被験者との臨床試験(治験)結果の共有
4. 臨床試験(治験)データ共有手順の認証
5. 臨床試験(治験)結果の公表に対するコミットメントの再確認



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福島雅典ら.公共財としての臨床試験情報.臨床評価 2005;32:45- 64.
mark [3]
Ben Goldacre、 製薬業界を蝕む隠蔽体質、 週刊ニューズウィーク日本版2014年 12/16号





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