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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「最新のがん治療 ―がん免疫療法―」
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免疫療法の研究

先ほど、免疫チェックポイント阻害剤は10年を超えて臨床効果が持続しているという話をしました。しかし、抗CTLA-4抗体治療を受けた患者さんの10年後の生存率は依然として2割程度であるということがわかります(図4)。つまり、残りの7、8割程度の患者さんには依然として臨床効果がみとめられないということですので、さらに私たちは研究を進めていかなければならないと思っています。それには2つの方法があると考えています。

図4 免疫チェックポント阻害剤による長期のフォローアップデータ

図4 免疫チェックポント阻害剤による長期のフォローアップデータ

1つは、バイオマーカーを同定することにより、既存の抗CTLA-4抗体などの免疫チェックポイント阻害剤治療で効果がみられる2割の患者さんを選び出します。臨床効果がみられる患者さんをあらかじめ判別できればそのくすりの効果は100%になるからです。
 もう1つは、単剤で効果がみられないような患者さんに新たな治療法を開発します。この2つの戦略が必要だろうとの考えで、私たちの分野はトランスレーショナル・リサーチという名を付けていただいて研究を進めています。

バイオマーカーの探索

バイオマーカーの探索は、今までいくつか検討がなされてきました。特に注目されているのがPD-L1です。PD-1のリガンドがPD-L1とPD-L2であるため、そのリガンドが腫瘍組織に発現していれば臨床効果があるのではないかと考えられたわけです。ところがいろいろな問題が明らかになってきています。特に大きな問題が、先ほど述べたようにPD-L1はがん以外のところ、たとえばリンパ節の抗原提示細胞にも発現しているということです。
 また、がん組織内で検索した場合でも、がん組織の中で発現のばらつきがあり、ある部位では発現が陽性でも、ある部位では陰性であることがわかってきています。さらに前治療によって、免疫の関連分子は簡単に発現が変化し、細胞表面に発現したり、発現が低下したりします。たとえば、放射線治療やシスプラチンを使うと、PD-L1分子の発現は上昇します。逆に抗がん剤の中にはPD-L1分子の発現を低下させてしまう薬剤があることも明らかになっています。また、検体の保存状態により、測定結果の安定性に問題があることもわかってきています。さらに問題なのは、発現解析をするために使用する抗PD-L1抗体により感度がまちまちで、ある抗体では陽性になるがほかの抗体では陰性になったりします。抗体が結合する強さの違いで、このような違いが出てきてしまう、と考えられます。よって、発現解析法について相当な標準化をしないと、陽性にもかかわらず、手技によって陰性になってしまう可能性が生じます。

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