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「製薬協メディアフォーラム」を開催
―どこまで動いた? 予防接種制度と感染症対策―
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新しく定期接種化されたワクチン

ワクチンが導入されるときれいにその効果が表れるものがあります。水痘ワクチンがそれにあたります。2005年〜2015年の10年分の水痘の推移をみると、今までの日本の水痘ワクチンは20〜30%しか受ける人のいない任意接種のワクチンであったため、水痘の流行状況はまったく自然な状態といえるものでした。これが2014年10月から水痘ワクチンの定期接種が導入されると、2015年から発生が抑えられ、今日本では少なくとも典型的な水痘は消えつつあるといえます(図4)。このワクチンは大阪大学の故 高橋理明先生が世界に先駆けて開発されたワクチンで、世界中で使われています。高橋先生は水痘の予防に大きな足跡を残されました。

図4 水痘の推移(2005-2015)

図4 水痘の推移(2005-2015)

出典:感染症発生動向調査データ(IDSC/NIID)

そのほかにも小児の細菌性髄膜炎などの原因になるHib、肺炎球菌もワクチンの定期接種が開始されると同時に罹患率がきれいに下がりました。小児の救急医療の現場から細菌性髄膜炎の疑いの患者は極めてまれとなり、その分ほかの重症患者に手が回るようになってきました。ワクチンが小児医療の全体の底上げに役に立ったのではないかと考えます。ただ、このワクチンが導入された際に残念ながらワクチン接種後に死亡した7例の報告があり、一時ワクチンの中止が行われました。1ヵ月間で膨大な資料が検討されましたが、ワクチンの製造品質管理については問題がなく、海外でも一定の頻度で死亡報告があるものの死因は感染症や乳幼児突然死症候群などほかの原因が大半を占めており、明確なワクチンとの因果関係はないとしています。報告された7例についても明確な因果関係は認められていないと考えられるため、ワクチン接種再開に踏み切りました。その結果としては小児の侵襲性Hib感染症・肺炎球菌感染症は激減したことになります。残念ながらワクチンは副反応がないわけではありません。ゼロリスクではありません。多くの場合は直接の因果関係はありませんが、真の副反応もあり得るので、これらの判断は慎重になされなければなりません。しかし実施にあたっては、常に病気を防ぐ利益と、副反応の損害とのバランス、そして被害にあわれた方の医療費などの救済を考えることが必要です。

予防接種行政に関する審議会・審査会

予防接種行政に関する審議会については「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」があり、この中に「予防接種基本方針部会」、「研究開発及び生産・流通部会」、「副反応検討部会」の3つの部会があります。救済については別の委員会「疾病・障害認定審査会」にて検討を行います(図5)。予防接種については、「予防接種基本方針部会」において予防接種基本計画が作られています。この予防接種基本計画での基本的な考え方は「予防接種・ワクチンで防げる疾患は予防すること」、「予防接種の効果及びリスクについて、科学的根拠を基に比較衡量する」となっています。研究開発及び生産・流通部会は、わが国にとってこれから必要と考えられるワクチンについて検討し、新しいワクチンの開発状況をヒアリングするなどが行われています。副反応検討部会は、定期接種、任意接種を問わず副反応(有害事象)について検討しており、現時点ではワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価しています。有害事象と副反応の違いを説明しますと、有害事象(adverse events)とはワクチン接種後に生じたすべての好ましくない事象をさし、副反応・有害反応(side reaction, adverse reaction)とはワクチン接種後に生じた、ワクチン接種との因果関係が否定できない事象をさします。なお医療機関から「重篤である」と届けられた副反応(この場合は有害事象として届けられたものであることに留意)は、10万接種で0.1〜5件、多くのワクチンは10万接種につき1件程度というのが現在の状況です。

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