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「製薬協メディアフォーラム」を開催
―どこまで動いた? 予防接種制度と感染症対策―
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破傷風

日本の破傷風の発生状況をみると、年齢別で男女ともに60歳代、70歳代にピークがあり、年間100例ほど発症しています。破傷風はけがの傷口などから菌が侵入するため、震災などで多くのけが人が出ると警戒が必要になり、海外での震災などでは小児を含み患者数が急増します。東日本大震災においては震災関連として9人が発症していますが、その年代をみると50歳代〜80歳代で、破傷風ワクチンを受けている世代での発症はありませんでした。国内での血液中の破傷風抗毒素保有状況をみると、子供の頃にワクチン接種を受けた30歳代〜50歳代に差し掛かる世代までは免疫能を保持していますが、予防接種世代ではない高齢者層では免疫を持たない人が多く、この世代での破傷風患者が発生したことになります。普段からの予防により、このような万一の事態での二次的な災害を防ぐことができます。また日常生活の中でも、破傷風予防のために土いじりなどをする高齢者の方は予防接種を受けておくことが勧められます。

ポリオ

ポリオに対しては、現在では多くの場合四種混合ワクチン(DPT-IPV)として子供たちに定期接種として投与されていますが、日本にまだワクチンが導入されていなかった1960年代にポリオの大流行があり、5000〜6000人のポリオ患者が出たことがあります。当時旧ソ連・カナダなどから緊急に生ポリオワクチンを輸入し、治験などすることもなく子どもたちに一斉投与を行い、患者発生が抑えられました。その後、国産生ポリオワクチンが実用化され定期接種となり、1980年からは日本でのポリオの発生はありません。しかし、生ポリオワクチンであるために年間1〜2例のワクチンによる麻痺の副反応が発生するため、不活化ワクチンへの切り替えが2012年行われましたが、その前の1〜2年の間、100万人に1人とはいえ生ワクチンへの不安によりワクチンを接種しないという選択が増え、生ポリオワクチン接種率が3分の1程度まで落ち込んだところもありました。当時ポリオワクチン接種が低い国で患者発生は少なからずみられており、ポリオウイルスの国内への侵入が警戒されましたが、幸い患者発生はなく、現在は四種混合ワクチン(DPT-IPV)という形で不活化ポリオワクチンが定期接種として高率に接種されています。
 海外においては一度おさまった国で再びポリオが拡大したこともあり、WHOは2014年5月に野生型ポリオの国際的拡大のリスクに関してPHEIC(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)を宣言しました。世界のポリオに対する作戦は、生ポリオワクチンを不活化ワクチンに切り替えて生ポリオワクチンによる麻痺を減らし、やがてはポリオワクチンを中止するという方向でステップを踏んで動いています。しかし、不活化ワクチンは生ポリオワクチンより高価であり、また飲むワクチンから注射をするワクチンという技術的な問題などもあるため、途上国での普及は国際的な課題として進めなければなりません。

麻疹

10数年前の日本には年間の麻疹患者が20万〜30万人という時期があり、その患者のほとんどが小児でした。麻疹の予防接種は定期接種として行われてはいましたが、7歳半までやればいいというような制度への誤解などもあり1歳児の接種率が低迷していました。そのため、「1歳になったらすぐに予防接種を!」というキャンペーンが始まりました。またその後、1回の接種では完全に抑えることができないため2回の麻疹ワクチン接種が必要である世界の標準的な考えにあわせ、2006年よりワクチンは生後12カ月から24カ月までと小学生になる1年前から就学時までの2回接種がはじまり、小児での患者発生は激減しました。しかし2007年には高校生、大学生など若者の間で麻疹が流行し、休校や学校閉鎖が相次ぎました。そこで2008年度より2012年度の5年間の経過措置として、中学1年生と高校3年生に接種を実施し、1歳から大人までの発生を抑えることができました(図3)。WHOは国内固有の麻疹ウイルスが3年間確認されない国を麻疹排除(measles elimination)国として認定しており、日本に対し2015年3月に麻疹排除の認定を出しました。これは、医療機関をはじめ検査、研究、行政、教育、ワクチンの製造機関、報道、そしてなによりも一般の方からも理解いただいたことによるオールジャパンでの取り組みの大きな成果です。麻疹は今や教科書でしか見ることのない病気になりつつあります。

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