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「2016 ライフサイエンス知財フォーラム」をバイオインダストリー協会と共催
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パネルディスカッションでは、「ライフサイエンス産業発展のための特許制度とは」と題して、演者の方々をパネリストに迎えて議論がなされました。以下、議論の要点を記載します。

日本訴訟の全般的傾向

Q

本パネルディスカッションでは、ライフサイエンス産業における適切な特許制度、および紛争処理とはなにかを議論したいと思います。いまだ、日本経済は停滞していますが、ライフサイエンス産業に限らず、日本でイノベーションが生まれない原因はなにか。なにが足りていないのでしょうか。

A

経済成長を遂げているのは、財産権を保護し、投資効果を出している国だと思います。アメリカではアンチパテントからプロパテントへの動きがあり、制度全般としてうまくいっているのではないでしょうか。権利行使によりどのくらいの利益になるか、いわゆる出口が重要です。知財の保護がなくなったら投資する人はいなくなると思います。一方で、日本人は訴訟を好まないという話しもありますが、日本人もお金になるのであれば訴訟をするのではないかと思います。
 成長のためには財産権をきちんと保護する必要があります。日本がなぜうまく成長してこなかったのか。なにか問題があったのではないでしょうか。
 日本における最近の傾向としてコストの問題もあると思いますが、出願せずに保護できないか(いわゆるノウハウ)とか、先使用権で何とかならないかという方向になっていて、出願件数は減少しており、公証人役場が盛況になっています。高額の案件でも訴訟に至らないケースも多く、訴訟に至るのは10件に1件程度ではないかと思います。良い発明を権利化して権利行使するという流れがなぜうまくいかないのでしょう。
 日本は、外国に比べると訴訟に対する抵抗感がありハードルが高いのは事実です。訴訟を行うことはトップの了承が必要であり、また白黒もハッキリしてしまうため、和解で済むならそれで済ませたいと考える日本企業は多いと思います。
 訴訟制度の問題というより権利者の意識の問題かもしれません。訴訟件数からみると、大企業ほど訴訟をしたがらず侵害訴訟提起の6割は中小企業です。これは大企業間では事前に調整がとれることもあるかもしれませんが、問題はあるように思います。

訴訟の損害賠償額

Q

訴訟を起こしてお金を得ることができれば、訴訟に対してアクティブになるのでしょうか。

A

日本では訴訟で損害賠償が認められても赤字になるケースがあり、日本企業でもアメリカで訴訟を提起しています。つまり、訴訟をするなら日本ではなく、費用はかかるがリターンも大きいアメリカが選ばれているのではないでしょうか。そうであるならば、日本の訴訟システムに問題があると考えられ、法律家のマインド転換も必要なのではないでしょうか。
 ライフサイエンス分野においては、特に後発品訴訟で、損害賠償よりも差し止めができることが重要です。この点では現在の日本の訴訟システムは十分に機能しているのではないかと思います。また最近では、日本、アメリカとも和解のケースが多いように思われます。
 製薬企業にとって差し止めが重要であることは事実です。ただし、公の利益を考えると、差し止めをしたほうがよいのかという議論もあるので、差し止めに制限が必要ではないかと思います。バイオ分野の新しいビジネスでは、ライセンスを得てビジネスを行う形が増えると思われるので、その場合には損害賠償が重要になってくるものと思います。
 実は、損害賠償に関しては、経産省の提案が民法の原則を根拠に法務省に否定されているという事実があり、特許法101条損害賠償の改定案もしぼんでしまった経緯があります。差額説が民法の理念という考え方がありますが、ドイツでは吐き出し論により、得た利益を吐き出させるという考え方もあります。そもそも日本で出される利益率は作為的なのではないでしょうか。
 確かに日本の損害賠償額は低くダメージの額が少ないという議論もありますが、アメリカであっても実際は3倍額となることは少なく実損額となることが多いのではないでしょうか。
 アメリカでの損害賠償額がたいへん高額なわけではなく、日本の裁判所が損害額を正しく認定できていないのが問題なのではないでしょうか。
 日本の司法制度が悪いわけではないが、裁判官が足し算をしていくとどうしても低額になります。民法では実損については刑事罰でバランスをとっていますが、知財では投資額が最大の損害額となるため低額となってしまいます。
 裁判官は損害賠償額の高低は感じていませんが、弁護士の立場では確かに低額に感じます。文書提出命令が出ていないのが問題なのではないでしょうか。現状では2、3年に1回程度しか出ていないのではないかと思われます。
 立法事由など、何らかの事件がきっかけにならないと変わらないのではないでしょうか。

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