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「2016 ライフサイエンス知財フォーラム」をバイオインダストリー協会と共催
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証拠収集手続きについては、具体的態様が十分に明らかにならなかった場合に書類提出命令を発令しやすくする方策や、中立的な第三者が被疑侵害者に対して査察を行う制度について、具体的な検討を進めることが適当であると整理されました。
 損害賠償額については、まだ整理ができていませんが、通常のライセンス段階から警告段階、侵害段階と進むにつれ、実施料率が当然高くなっていくというビジネスの実態をより正確に反映するような、特許法102条3項の実施料相当額の考え方があるのではないかという意見などが出されています。
 本件は2015年度内に報告書を取りまとめます。そして、その後策定される「知的財産推進計画2016」の柱の1つとするとともに、特許法改正が必要となれば産業構造審議会で議論を開始することとなります。

片山英二 氏

■講演 2

紛争処理システムの日米比較と日本企業の対応

阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士 片山 英二

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日本の特許訴訟システムは、アメリカの制度と比較したときにどのように評価され、課題があるとしたらどのように改善すべきかについて紹介します。
 まず、訴訟のスピードについては、平均的にみて日本のほうが速く、1年くらいで判決までいきます。アメリカではディスカバリーなどに時間がかかりトライアルが始まるまで3年くらいかかることがあります。
 次に証拠収集についてですが、アメリカのほうが容易といえます。アメリカでは、手元の資料を全部机の上に並べて、どちらの言い分が正しいのか判断してもらうというフェアネスの考え方から、ディスカバリー制度があります。一方、日本では、訴訟を起こすのだから原告はそれだけの証拠をもっていて当然との考え方をとっています。被告からの情報収集手段として文書提出命令の制度がありますが十分に機能しているとはいえません。
 特許無効の審理についてですが、アメリカではトライアルにおいて侵害判断と同時に行われてきました。最近Inter Partes Review(IPR)制度が導入されて状況が変わりましたが、裁判中の場合にはIPRが優先されその結論が出るまで裁判が止まるというのが実態のようです。日本では、キルビー判決以降ダブルトラックとなっており、多くのケースで裁判所と特許庁の両方で無効審理がなされています。これは世界的にみると少数派です。
 裁判所が判断する際の技術の理解については、アメリカでは専門家証言を中心に進められますので著名でわかりやすい説明をする学者を探すことが重要になります。一方、日本では裁判所に調査官がおり専門委員も審理に加わり、裁判官が技術的理解に困ったとき調査官に説明を求めることができます。
 審理方式と裁判官の関与についてですが、日本では裁判官の関与が大きく審理の最初から訴訟指揮を行います。一方、アメリカではディスカバリーには裁判官は関与せず実質的にはマークマン手続きから登場することになります。
 判決の内容についてみると、アメリカの陪審員裁判の場合は結論だけで理由がありません。一方、日本では丁寧に理由が書かれています。控訴審になると、アメリカでは判決に理由がないためにもっぱらクレーム解釈などの法律事項に制限されて審理され、事実問題についての結論を変えるのは大変ですが、日本では事実関係の審理を含めて争うことができます。
 全体的にみますと、日本の制度のほうが丁寧に審理がなされ、コストが安く、概して速くて親切といえます。一方、証拠入手とダブルトラックの制度が特許権者に不利といえます。改善の方向性として、日本でも証拠入手の方法を改善し、また、裁判が始まったら特許の有効性判断は一本化してはどうかと思います。
 最後に、製薬産業の視点で両国の制度に大きな違いはないですが、業界関心事である差止請求については、アメリカではeBay判決以降、制限があるのに対して、日本では制限がありません。仮処分について、アメリカでは短時間で結論を出すことがありますが、日本では一般に本件訴訟と同様進行となるという違いがあります。

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