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「IFPMA理事会」開催される
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国連でも議論されている医薬品アクセス問題(Access to Medicines)

国連事務総長の潘基文氏の発案により、国際連合が主導して医薬品アクセス問題[1]に取り組むことがIFPMA理事会で紹介されました。開発途上国では、公的医療保険制度や医療インフラの未整備、医薬品の製造・品質管理にかかわる人材不足、偽造医薬品の横行、貧困など、さまざまな要因により医薬品へのアクセスが阻害されていることが問題となっています。医薬品アクセス問題に対して提言を行う国連ハイレベル・パネルが組織され、アフォーダブルな非感染性疾患や感染症の医薬品アクセス改善のための勧告書を、2016年6月までに国連事務総長宛に提出することになっています。なお、産業界からはイギリスのグラクソ・スミスクライン社のCEOとインドのジェネリック医薬品メーカーであるシプラ社の会長が本パネルのメンバーに選定されました。ニューヨークに本部を置く国連が、途上国関連問題の中でも1つの象徴的な問題となっている医薬品アクセス問題に関する議論を主導していることはグローバルヘルスにおける新しい潮流といえるかもしれません。

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医薬品アクセス問題:アフリカなど途上国を中心とした感染症(特にHIV/AIDS、マラリアおよび結核)の蔓延を背景に、特許制度により医薬品が高価になったり、コピー薬の生産・使用・輸入等が制限されることが、医薬品へのアクセスを阻害していると指摘されている。これに対し、先進国は、TRIPS協定をはじめとする知的所有権制度に関する対処だけですべてが解決可能なわけではなく、これらはあくまでも総合的対策の1つの側面にすぎないことに留意すべきであり、医薬品開発の促進のためには特許制度は必要である旨主張してきている。感染症に対する社会的関心の高さもあり、ドーハ閣僚会議において「TRIPS協定と公衆の健康に関する宣言」が採択され、特に医薬品生産能力のない国への対策について検討することとされている。途上国関連問題の中でも1つの象徴的な問題となっている。

2016年は日本とグローバルヘルスにとって特別な1年

2015年以降の国際目標として持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs)が国連総会で採択され、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:すべての人が基礎的保健医療サービスを受けられること)の達成が、SDGsに盛り込まれました。併せて国際社会が二度とエボラ出血熱の感染拡大を繰り返さないよう、グローバルヘルスガバナンスの再構築、基本的な医療提供体制を含めた国際保健システムの強化の重要性が、さまざまなステークホルダーにより指摘され、議論されました。2015年の先進7カ国首脳会議(G7)・エルマウサミットおよび同保健大臣会合においては、感染症対策に加えて、今後世界規模で公衆衛生上の深刻な脅威となる薬剤耐性菌(AMR)も重要な課題として、抗菌薬などの適正使用を促進し、基礎研究、疫学研究および新たな抗生物質、ワクチンならびに検査法などの開発に取り組むべきである旨が宣言されました。さらに、大村智博士が2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞し、熱帯感染症に対する日本の経験・技術を活かした貢献について広く世に知られるきっかけとなりました。
 今年は日本が議長国を務めるG7伊勢志摩サミットや同神戸保健大臣会合などを通じて、わが国がグローバルヘルスの分野において主導的な役割を果たすことが期待されています。日本で開催されるサミットを機に、製薬協の国際委員会 グローバルヘルス部会ではG7タスクフォースを設置しました。今後世界規模で公衆衛生上の深刻な脅威となる薬剤に対して、製薬協としての課題認識と提言をまとめ、課題解決のための国際連携とG7首脳からの支援が強化されることを啓発していきます。開発途上国を含む世界の人々の医薬品アクセスの改善に向け、各企業自らの国際貢献の方向性・実績を見極めたうえで、産業界がグローバルヘルスの課題解決に貢献することが問われる1年になるでしょう。

国際委員会 グローバルヘルス部会 IFPMAワーキンググループ 西本 紘子

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