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製薬企業におけるReal World Dataの活用
ー医療情報データベース利用の現状

2015年度タスクフォース3「RWDの活用」
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まとめ

本アンケート調査は、対象67社中47社から回答を得ました。医療情報データベースを利用していない、あるいは利用に関心がない会社からは回答が得られていない可能性もあり、利用割合などに関するデータは過大評価になっている可能性もあります。
 回答会社の約半数ではすでに医療情報データベースを社内で保有しており、部門を問わず広く活用されていました。また、営業管理以外で医療情報データベースを利用した経験がある、あるいはその予定がある会社は6割に上りました。データベースの利用目的として最も多かったのは、開発戦略や臨床試験計画への応用であり、次いで市販後の情報創造でした。さまざまな種類のデータベースが利用されていましたが、社会保険組合由来のレセプトデータベースや病院ベースのDPCを中心としたレセプトデータベース、調剤レセプトデータベースが特によく利用されていました。研究の成果を学会発表や論文として公表している会社もあり、データベース研究が日本でも増えてきている様子がうかがえました。一方で、社内でのデータベース研究実施体制は十分整っておらず、手順書や実施計画書の審査体制、専門家の育成などを考える必要があります。これはデータベースを用いるかどうかにかかわらず、観察研究全般に関して同じことがいえるかもしれません。
 医療情報データベースの活用には、注意すべき点も多くあります。まず、目的とする研究のために収集されたデータではなく、別の目的のために集められた情報を二次利用することに由来する限界があります。つまりデータソースとその一次目的をよく理解する必要があります。たとえばレセプトは保険請求のための情報であり、保険償還に関連しないデータは含まれていません。また、特に日本では医療施設や医療記録に戻れない形に加工されたデータが二次利用に供される場合が多く、データソースを確認する術が限られていることがよくあります。臨床で正しく診断され、記録されていても、そのデータが二次利用のために抽出されたデータベースにすべてそのまま反映されるわけではないことを理解する必要があります。逆に保険病名の問題もあります。データベースの中のデータやそこから得られた結果を鵜呑みにせず、データの質や妥当性などをよく理解したうえで利用することが重要です。
 また、データソースの種類による限界もあります。たとえば、社会保険組合の保険レセプトデータベースでは、65歳以上の年齢層が極端に小さくなるため高齢者が主となる疾患の評価には不向きですし、保険の種類が異なるデータは得られません。さらに、解析にあたっては結果の透明性担保のために外注する企業もありますが、社内で解析を試みる場合には臨床試験データとは比較にならないほど大容量となることもあり、大規模データを解析できる環境を整える必要もあります。
 本タスクフォースでは、データベース研究の基本やその実際をまとめた「データベース入門」を製薬協のWebサイトで公開しています[4]。さらにデータベースの品質管理やデータベースを用いた解析の実装例などについても、順次報告書を公開する予定です。データベースの利活用においてデータサイエンス担当者が貢献できることはたくさんあります。今後も引き続き検討したいと考えています。

医薬品評価委員会 データサイエンス部会 湯浅 美幸代、米田 茂広、國富 悠司、鳥居 友紀子、
石川 秀一、大倉 征幸、長野 敦、惟高 裕一、河口 裕、佐藤 恵子、中島 章博、瀧田 厚、
木村 友美、阪口 元伸、小林 典弘、中村 正樹
〈兼 日本医療データベース協会〉、酒井 弘憲

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日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 データサイエンス部会2015年度TF3 Real World Dataの活用「データベース研究入門」Ver.1.1 2015年11月(http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/allotment/rwd.html)



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