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「製薬協メディアフォーラム」を開催
テーマは「医療におけるビッグデータの利活用:PMDAのMIHARI ProjectとMID-NETについて」
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MID-NETの長所は以下の3点です。

(1) 診療情報やレセプト情報など、多様な情報源に由来する医療情報が利用可能
(2) 検査データなどのアウトカムデータが利用可能
(3) ほぼリアルタイムで情報が利用可能
 アメリカではこのような医療情報DBを使った安全対策がすでに行われていますが、検査データなどのアウトカムデータを使うようには至っておらず、アウトカムデータを使える点はMID-NETの大きなメリットとなると考えています。
 一方、MID-NETの限界としては以下の4点が挙げられます。
(1) 大学病院中心で急性期患者が主体
(2) 来院前・転院後のほかの医療機関での情報などが得られないため、1人の患者を長期に追跡できない
(3) 特定の医療機関を対象としているため、全国民を必ずしも代表しない
(4) 活用項目は、疾病、処方、検査の電子化された情報のみ(テキスト情報は利用不可)
 糖尿病などの慢性疾患の患者を長期に追跡することはできません。また前述したように、分析の際には副作用や患者特定の条件定義を慎重に行う必要があります。
 MID-NETとナショナルレセプトDBを比較すると、ナショナルレセプトDBは1億人分という大きなデータをもち、転院後や他施設でのデータも追跡できますが、データが月単位であり、リアルタイムには使えず、臨床検査結果も得られません。MID-NETは300万人のデータで、長期の追跡はできませんが、ほぼリアルタイムに検査結果も含めて使えます。このようなDBごとの特性、限界を十分理解し、目的に合ったDBを選択して利用することが重要です。
 MID-NET構築事業においてPMDAのこれまでの経験から得た課題が2つあります。今後の本事業の進捗と実用化、そして拡大の鍵となるものです。

課題1:DB構築における課題

現在本事業は、10拠点23病院へのシステムの導入を完了し、データ、システムの検証を実施している段階です。データ、システムの検証とは、各医療機関の種々のDBから統合DBに正確にデータが格納されているか、という「データの品質管理」と、統合DBからのデータ抽出および統計処理が正確に行われるか、という「抽出・統計処理システムの品質管理」です。「データの品質管理」では、想定以上にデータ移行に不具合が発生していました。SS-MIXに基づく標準化を行ってはいるものの、運用やその詳細で各医療機関ごとにルールがあり、SS-MIXの仕様にも一部曖昧な点があったため、うまく移行しないという問題が発生したのです。各医療機関でこの問題に対応し、膨大な作業となりました。一方の「抽出・統計処理システムの品質管理」のほうは比較的順調に確認作業が進んでいます。
 「医療情報の標準化および品質管理」は科学的な分析に基づく安全対策の大前提であり、真の標準化のために政府全体や医療関係者の取り組みが必要です。

課題2:データ利活用における課題

もう1つの課題は「医療情報の取り扱いルールの整備」です。医療情報は個人情報であり、その取り扱いには慎重な配慮が必要です。MID-NETでは図2に示すように、連結可能な情報は各医療機関限定であり、利活用者が取り扱える情報は連結不可能な匿名化された情報です。しかし、現時点で医療情報の取り扱いルールは十分ではありません。どうすれば匿名化と見なされるか、また個人情報でないとされるのか、などがまだ決まっていないのです。国民の理解を得て、医療情報の積極的な利活用を推進するために匿名化の方法や患者同意のとり方など、国としてのルールの策定が必要です。

 将来的な期待としては、10拠点23病院300万人規模から規模を拡大することです。また、マイナンバーとは別に導入が議論されている医療等番号あるいはそれをさらに変換した番号などで医療情報のリンケージが可能となるかどうかです。これらが実現すれば、大規模なデータベースのメリットを活かした、さらに有用な医療と健康のための利活用が可能になるでしょう。

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