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医療機関の治験業務に対するKAIZEN活動
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図17 クリップ留めされた検査キット

図17 クリップ留めされた検査キット

この予防策を徹底することで回収漏れはなくなりました。集中検査にかかわる業務プロセスに複数の人目が触れることで、誰かが間違いに気づきやすくする仕組みを構築できました。各CRCの細かい手順を透明化することでベストプラクティスなどの情報共有もできました。

2014年4月から始めたKAIZEN活動の結果

さて、目に見える効果についてですが、現在、当院の治験受託の件数が増加しているにもかかわらず2015年度4月〜11月末の逸脱・逸脱未遂数は前年度(同期間で比較)の38%に減少しました。ただ、逸脱や逸脱未遂のデータベースが4月にできてからまだ2年が経過していないため、数値による最終的評価は2015年度末の時点で明らかになると考えています。

リーンシックスシグマを治験実施現場(医療現場)で行ううえでの特徴と課題

治験現場(医療現場)でシックスシグマを行ううえでは、通常産業界で行われているやり方とは少し違う方法を取らざるを得ない部分があります。a. 通常シックスシグマを行う際には組織内にそれを専任で行う「ブラックベルト」という資格者を置き、その人が中心になって実施するようですが、医療機関ではなかなかブラックベルトの資格を取りに行く時間的、予算的余裕を持ち合わせていないのが現状です。よって現場の誰かが研修や文献などから得た知識をもとに行うことになります。b. 産業界では長い時間をかけてKAIZENプロジェクトを行っていくようですが、われわれ臨床現場では即カイゼンしなければ医療ミス(たとえば検査キットの不備のために患者に再び針を刺し血液採取を行うことなど)につながるような事例も多く、患者さんの安全を守るうえでもその都度タイムリーに問題を解決していく必要があります。また医療機関では現場の患者さんの都合などに合わせて行動しており、皆が集合して話し合いを行う時間を設けるというのが難しく、集合してもメンバーの拘束時間は極力短くすることが求められます。以上から次のような運用の工夫を行っています。

(1) 朝の外来診療が始まる前の30分間を使う。
(2) CRC皆での検討は自分たちのデスクや電話がある部屋の中で行う。
(3) あらかじめ問題点の要素の洗い出しやプロセスマップの作成はおのおの空いた時間に事前に行っておく、などです。
 無理なくこまめに実施していかなければこれらの取り組みは長続きしないと考えています。

おわりに

リーンシックスシグマを使用して自分たちのプロセスを検討することは、経験豊富なCRCから経験年数の少ないCRCへの技の伝承の場ともなり、教育効果を高めると同時に組織内の情報伝達の風通しが良くなるという効果も得られました。リーンシックスシグマツールの活用は、CRCの経験や個人の技に依存しない最低限の仕組み作りに寄与しました。このような質を保つ仕組みを実施医療機関が主体的に構築することで、従来行われているような直接閲覧を中心に第三者が確認作業を行うようなモニタリングの形の必要性は低くなると考えられます。

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