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医療機関の治験業務に対するKAIZEN活動
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昨今、医療機関における品質管理の重要性は、臨床研究関係の学会などでも議論されるようになりました。各医療機関からもさまざまな取り組みが紹介されており、具体的には施設内の臨床研究コーディネーター(Clinical Research Coordinator、CRC)とは別にローカルデータマネージャーというデータ入力やデータ回りの管理を行う人材を置いて、CRCに業務が集中しないよう分業させたり、データ入力の際にダブルチェックを行ったり、電子症例報告書(Electronic Data Capture、EDC)への入力の際のチェックリストを作成し点検を行うなどの取り組みが多く実施されているようです。われわれ聖路加国際病院では、リーンシックスシグマといいう手法を使って、人手やコストをかけず個人の能力にも依存しないKAIZEN(カイゼン)活動に2014年4月から取り組んでいます。その概要を紹介します。


石橋 寿子、平山 真由美 (聖路加国際大学 聖路加国際病院 研究センター)

リーンシックスシグマについて

シックスシグマは欠陥を100万回のうち3.4回「100万分の3.4(6σ)」に抑えることを目指すというイメージから名づけられたようです。シックスシグマは、1980年代にアメリカ モトローラ社が、その当時品質が高かった日本企業の製品の品質の差の原因を追究する中から生まれた、業務改善や経営改善の手法です。その後、アメリカのGE社をはじめ世界中のさまざまな企業で導入されています。またリーンというのは無駄をなくすツールで、無駄を省いてプロセスを効率化していく「リーン」と、仕事や製品の質を高めていく「シックスシグマ」それぞれの特徴を生かして上手に改善しようという発想で生まれたものが「リーンシックスシグマ」と呼ばれています[1][2]

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眞木和俊、図解 リーンシックスシグマ ダイヤモンド社 2012年10月
mark [2]
眞木和俊、図解 コレならわかるシックスシグマ ダイヤモンド社 1999年11月

治験におけるCRCのこれまでの品質管理活動

CRCは誰もが欠測や逸脱のない質の高いデータを生み出せるように試験開始前に逸脱などの発生リスクを特定し、考え得る逸脱予防策などを施します。たとえば「この検査キットをこのまま検査部に搬入すると担当者は混乱するだろう。だからこのようにわかりやすくアレンジしておこう」とか「この治験薬の服用方法は一般の診療のときよりもはるかに複雑で難しいため、このままだと多くの患者さんは飲み間違えを起こすだろう。だからこのようにわかりやすくシールを貼ってみたり、図解の説明書を作成したり患者さんに指導したりする」などの工夫です。
 一般臨床を超えた難解かつ煩雑な部分をCRCのそれぞれがアセスメント、そして工夫をしながらデータ欠測やプロトコル逸脱がない質の高いデータを生み出し、かつ被験者が安全に過ごせるよう腕をふるっています。

CRC活動にリーンシックスシグマを導入する理由

上記の通り、各CRCはプロトコルに応じて予測できるリスク(逸脱などの発生)を特定し、それに対して最大限考え得るリスクを回避してきているのですが、そのリスクアセスメント能力は実際には個人差があり、その結果、実際のCRC活動内容にもばらつきがみられるのが現状です。リスクアセスメント能力は、もともと個人がもち合わせている問題解決能力や臨床経験やセンス、熱意やその他の要因に依存すると考えられます。また欠測予防などのための細かい手順は、疾患領域やプロトコルの内容が多種多様な中で一律に手順書などに規定することは難しく、結果的に欠測予防は各CRCのやり方(能力)に依存する形になっています。
 そこで、われわれは個々のCRC間でばらつくことなく一定の品質を確保するため、産業界で広く使用されているリーンシックスシグマのCRC活動への適用を試みることにしました。

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