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「第27回製薬協政策セミナー」を開催
日本経済再生に向けたイノベーションの創出
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米満 吉和 氏
米満 吉和 氏

多田 菱山執行役が話されたように、これまでの医薬品産業には、内部の経営資源のみを利用して利益を上げるクローズドイノベーションというモデルが主流だったのは事実です。しかし、近年は創薬自体が非常に難しくなり、1社で創薬に取り組むリスクが非常に高まっています。そのため、製薬企業のほとんどが、同業他社やアカデミア、あるいはベンチャーとのタイアップ、さらには公募といったかたちで、世界の研究者の技術にアクセスし、何としてもイノベーションに到達したいと考えているのが現状ではないかと思います。もちろん、そうした過程ではそれぞれが囲い込んできた情報を開示することになりますが、通常のビジネスとして考えれば、納得しやすいのではないかと思います。そういう意味では、AMEDが提示されたコンソーシアム方式はプレコンペティティブな方法であり、うまくいけばお互いに利益を享受できるので、有用性は高いと思います。
米満 大学側にはオープンイノベーションに対する抵抗感はあまりないと思います。たとえばビッグデータについても、私の個人的な見解ですが、創薬のスクリーニングの元となる臨床データのプールやゲノム情報は、もちろん倫理的な配慮は必要ですが、それを乗り越えてやがてはオープンに共有されるリソースにしなければならない、と考えています。全地球測位システム(GPS)やインターネットのシステムは、もともと軍事用などの国のニーズによって開発された基本的なインフラストラクチャーですが、それが民間にオープンにされて、その後ビジネスに転用されるようになったわけです。同様に、ゲノムもビッグデータもそうしたインフラと考えれば、時代にマッチした新しいアイデアによって、さまざまな用途で活用され、それが新しいビジネスを形成してよいわけです。私たちの研究室には、PhD、MD、大学院生、ナース、製薬企業の研究者など、バックグラウンドの異なるさまざまな人間が集まっています。そのため、お互いの興味や考え方に違いはありますが、全員が一緒に、のびのびと自由に研究し、均質な集団では発想できない意外な考え方を出すことで刺激し合っています。アカデミアはまさにオープンイノベーションを推進できる立場にあるのかもしれません。

日本の強みは技術と人材を合わせた総合力

橘川 それでは、創薬のイノベーションを起こしていく上での日本の潜在能力に目を向けていきたいと思います。米満先生は、どこに日本の強みがあると思いますか。
米満 日本の基礎研究力は世界の中でも群を抜いていると思います。特にこの10年間くらいの免疫学とセルシグナリングの分野に関しては、アメリカにも決して負けていないと考えています。このような優れた基礎研究の成果として、最近は各疾患の重要な分子ターゲットがかなり特定されているので、あとはそれらをどのようにして創薬につなげることができるか、という命題が当面の目標です。その際は、低分子がよいのか、アプタマーか、siRNAか、抗体がよいのかなど、いろいろなモダリティーが想定されます。それをどのように発見し、開発していくのか、誰がやるのかといったところが国際競争の中で勝つためのポイントだと思います。もう1つは、iPS細胞やCAR-T細胞治療などのキーになる技術ですが、再生医療をより推進するためのソリューションとしてのジーントランスファー・テクノロジーの強化が必要だと思います。それには、遺伝子を導入して発現させるテクノロジーと、セルセラピーのテクノロジーがありますが、日本の製薬会社にはまだ十分にノウハウが蓄積されておらず、むしろアカデミアのほうが進んでいる分野です。そこで、産学のシームレスな協力が必要と考え、私はプレゼンテーションの最後に、日本版のPACTやGTRPをインフラとして整備することをAMEDに提案したわけです。
橘川 日本版のPACTやGTRPが必要とのことですが、菱山執行役はどのように考えますか。
菱山 いわゆる細胞培養センター(Cell Processing Center、CPC)の整備は、非常に大きな課題であると認識しています。ただそれは、現状の枠組みでもできないことはありません。たとえば、再生医療については4拠点を指定していますし、また、文部科学省の橋渡し研究支援拠点と厚生労働省の臨床研究中核病院を合わせた「革新的医療技術創出拠点」も指定していますので、そうした拠点において日本版のPACTやGTRPともいえるようなインフラの整備ができるかもしれないと考えています。あるいは、新たな仕組みを整備したほうがよいのかもしれませんが、いずれにしても、しっかりとした細胞を供給できる技術が大変に重要であることはわれわれも十分理解しています。ただ、そうした事業を新たに立ち上げるとなると、政府レベルの政策的な判断が必要だと思います。
橘川 多田会長は、何が日本の強みと思われますか。

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