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「第27回製薬協政策セミナー」を開催
日本経済再生に向けたイノベーションの創出
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菱山 豊 氏
菱山 豊 氏

ゲノム医療は方向性の明確化が先決課題

橘川 創薬は低分子化合物からバイオ医薬品へ、あるいはゲノム医療に方向性が移りつつあります。わが国は課題先進国とのことですが、ゲノム医療に関してはどのような課題があるのでしょうか。
米満 ゲノム医療は個の医療であり、究極の医療ともいわれています。しかし今のところ、リアルワールドにおけるコストを踏まえた現実問題として議論されている、という印象はありません。たとえば、抗がん剤は有効性が30%であっても、これまではその可能性に期待して使われてきました。しかし最近のバイオ医薬品のように、その治療費が年間に何百万円、何千万円となると、やみくもに使っていては保険財政が破綻します。ですから、有効性が示される集団を選択するためのツールの1つとして、ゲノム医療は間違いなく有効だと思います。それでは、有効性を評価するためのコストをどのように負担していくかとなると、その仕組みはまだ確立されていないのが現状です。個の医療と簡単にいっていますが、何をターゲットにして、どれくらいのコストを想定して、現実の医療として確立させるかについては、さらに知恵を絞る必要がある課題だということです。
多田 ゲノム医療はまだスタートラインといいますか、議論がようやくはじまったところだと思います。製薬企業の立場からいえば、ゲノム医療実現の方向性そのものが明確化されることが先で、それに沿った医薬品の供給が求められるようになってはじめて、われわれがかかわることになる、製薬企業としての使命を果たすことになるのではないかと思います。あるいは、構築されつつあるバイオバンクのデータ、ゲノム情報を含むビッグデータがしかるべき方法で解析され、そこで明らかにされたトレンドやパターンから創薬ターゲットやバイオマーカーが抽出されれば、そこからわれわれの関与がはじまるともいえます。いずれにしても、そうした創薬の環境づくりに向けて、今は議論する段階だと考えています。ただ、そうした取り組みは、民間だけでは難しいので、やはり政府の指導が必要になると思います。
菱山 ゲノム医療については、内閣官房の「ゲノム医療実現推進協議会」が2つの方向性を示しています。1つは、すぐに実用化が可能なゲノム医療で、私のプレゼンテーションではIRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases)という言葉で示しました。たとえば希少難病や遺伝病といわれるものが対象です。すなわち、遺伝子の変異によって代々受け継がれる疾患、あるいは特定の遺伝子によって発病する疾患です。そうした疾患はゲノムをしっかり調べることで同定できると考えられています。また、ドライバー遺伝子も実用化の対象になると思います。たとえば、肺がん関連の遺伝子としてALKやKRASなどが知られていますが、遺伝子の種類を同定する診断薬としての実用化も考えられています。
 もう1つは、実用化に少し時間がかかるものです。たとえば、日本人の生活習慣病の病態や発生状況が地域によってどう違うのかを、ゲノム解析で明らかにすることが考えられます。そうした解析では、環境要因も考慮する必要がありますので、少し時間がかかるのではないでしょうか。

コンソーシアム方式の有用性は高い

橘川 創薬のリソースの1つは人材だと思います。その人材を効率的に活用するシステムとして、AMEDはオープンイノベーションを推進されています。しかし、オープンイノベーションは日本人が苦手とする分野だといわれているようです。実際に難しいのでしょうか。
菱山 これまでの医薬品産業は、データを自分のところで囲い込む、あるいは知財を囲い込むことで発展してきた側面があると思います。そのために、医学や製薬の分野では他の産業に比べ、オープンイノベーションの導入が遅れたように思います。しかし、医薬品産業でもようやく、研究には豊富なデータが必要なことが意識されるようになり、プレコンペティティブな部分であれば産業界で共有していこうという方向性も示されるようになってきました。今後もオープンイノベーションの機会を拡大するためには、アカデミアも含めてマインドセットをさらに変えていく必要があると思います。
橘川 オープンイノベーションによって、足りない資源が補われ、開発のスピードも上がるといったメリットがある一方で、長年蓄積した技術やノウハウが流出しかねないというデメリットが指摘されることもあります。そうしたデメリットをどのように解決していけばよいのか、大学側と企業側の両方に聞きたいと思います。

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