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さらなる個別化医療用医薬品の開発に向けて
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表1 個別化に用いられる情報

表1 個別化に用いられる情報

個別化医療用医薬品を開発するためには、開発段階で個別化するための情報の有用性を示さなければなりません。この ことが個別化医療用医薬品ではない通常の医薬品の開発と異なる点です。具体的には、何らかの個別化のための情報(予 測因子等)を取得し、それを考慮したうえで薬剤の有効性および安全性を確認しなければなりません。個別化医療用医薬品 の開発は、個別化のための予測因子が開発段階ですでにわかっているケース(オンターゲット由来)と、開発開始時点では 意図しなかった有効性あるいは安全性への予測因子が臨床試験等の結果から見つかるケース(オフターゲット由来)に分類 できます。
 オンターゲット由来の個別化医療用医薬品の例としては、抗体薬など病態固有の特性やそのメカニズムに作用するように 設計された医薬品(Designed Medicine)が挙げられます。これらの医薬品は、疾患の原因に直接、あるいは症状を発生さ せる下流の伝達系をブロックする作用メカニズムで効果を発揮します。病態固有のターゲット(表1のDNA、タンパク質、エ ピゲノム等)を認識する薬剤であるため、従来薬よりも選択性が高く、それらをもつ患者ではより確実にベネフィット(標的 と薬物との作用メカニズムに裏付けされた高い効果あるいは標的外への反応を抑えることによる副作用軽減、またはその 両方)が期待できます。オンターゲット由来の医薬品開発には2つの注意点があります。1つは、薬剤の標的となっている病 態固有の因子が個別化のため有用な情報であることが既知であったとしても、それを精度よく測定する技術が確立していな い場合には、検証的な臨床試験の開始前までにその検査法を準備しておかなければならないことです。もう1つは、個別 化のための予測因子が定量値、あるいは複数の因子の組み合わせにより決まる場合、その適切な閾値(治療の対象集団と 対象外集団の適切な切り分けのための基準)を設定しなければならないことです。
 オフターゲット由来の個別化医療用医薬品は、臨床開発の開始後に見出された効果、あるいは副作用の予測因子に基づ き、投薬の可否あるいは投薬レジメンを変更する医薬品です。当初未知であった当該疾患の病態あるいはメカニズムが既 知になることで見出される場合や、メカニズムとの関連性が不明であったが臨床経験のデータから有効性あるいは安全性 への予測因子が導き出される場合はこのタイプの薬剤に該当します。オンターゲット由来の個別化医療用医薬品であっても 臨床的に影響を与える新たな因子が開発中に見つかるケースもこちらに該当します。オフターゲット由来の個別化医療用医 薬品では、効果あるいは副作用の予測因子が当初未知であるため、対象となる疾患の集団をそれらの予測因子で絞るよう なことはせず、全体集団(All comer)を対象に開発がスタートします。そのため、バイオバンキングなどレトロスペクティブ な情報収集の手段を用意しておくことで、開発後期に見出された個別化のための情報について、過去に全体集団を対象に 実施された臨床試験についても調査することが可能となり、ターゲット外の集団の有効性および安全性も検討することが可 能となります[3]。オフターゲット由来の個別化医療用医薬品を開発する際の最大の課題は、効果あるいは副作用の予測 因子となり得る候補を見出すことが容易でないことです。この理由としては、莫大な数の遺伝子やバイオマーカーを探索的 に測定・調査しなければならないこと、生物学的な観点から遺伝子ごとの応答への交絡や遺伝子以外の複数の要因による 応答への影響、測定の感度の観点からのノイズ、そして統計的な観点から多重性等の問題が挙げられます。

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