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長崎大学熱帯医学研究所における
感染症研究およびフィールド研究の現状

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安田 二朗 氏

4. 「エボラ出血熱」

長崎大学熱帯医学研究所 新興感染症学分野 教授 安田 二朗

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西アフリカにおけるエボラウイルス病のアウトブレイクの状況

2014年2月以降、ギニアで59名以上の原因不明死があり、2014年3月22日にエボラ出血熱であることが判明、2014年8月8日WHOによる緊急事態宣言が出されました。2015年2月15日現在の感染者数は2万3253名、死者数は9380名に上っています。
 この感染症の初期症状は、インフルエンザ様(発熱、倦怠感、筋肉痛、頭痛)であり、その後顔面・胸部の紅潮、点状出血、浮腫、低血圧、ショック、嘔吐、下痢などの症状が現れ、重症化すると多臓器不全や出血性ショックなどにより死に至ります。感染経路は空気感染ではなく、一般に血液、体液、排泄物への直接接触によって感染します。治療法については、特効薬、ワクチンはなく、対症療法(経口補液、点滴、栄養剤、昇圧剤などの投与)で回復することもありますが、致死率は25~90%です。
 エボラウイルスによる感染症で、エボラウイルス属にはザイール、スーダン、タイフォレスト、ブンディブギョ、レストン(ヒトに非病原性)の5種が存在します。形態は、糸状で直径80nm、長さ800~1,000nmです。自然宿主は、オオコウモリと考えられております。潜伏期間2~21日といわれています。

野生動物におけるエボラウイルスの感染

チンパンジー、ゴリラ、サル、レイヨウ、ヤマアラシなどの野生動物の感染例が報告されており、2002~2005年には、5,500頭の西ローランドゴリラが、エボラ出血熱で死んでいます。

エボラウイルス検出法

検出法には、血清学的検出法と病原学的検査法があります。遺伝子検出を原理とするRT-PCR( Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction)法やRT-LAMP( Reverse Transcription - Loop - mediated isothermal Amplification)法、抗ウイルス抗体を検出する間接蛍光抗体法が日本の研究者によって開発されています。特に、LAMP法は、簡便・迅速かつ安価に検査できます。

今、話題になっている開発中の抗エボラウイルス薬

● ZMapp
 カナダ、アメリカのグループが開発した抗体医薬品で、タバコの葉の細胞で作った3種のヒト化モノクロナール抗体のカクテル。西アフリカで感染したアメリカ人医療従事者2名に投与。経静脈投与。現時点では未承認薬。
● ファビピラビル
 日本の製薬メーカー富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬。副作用、催奇形性あり。日本のみ抗インフルエンザ薬として承認。抗エボラウイルス薬としては未承認。

ウイルスの増殖機構

エボラウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルスなど高病原性ウイルスの多くは同一の機構で感染細胞から放出されます。ウイルス増殖後期過程を標的とした薬剤としては、インフルエンザに対するオセルタミビルリン酸塩、ザナミビル水和物、ヒト免疫不全ウイルス1型(Human Immunodeficiency Virus-type 1、HIV-1)に対するプロテアーゼ阻害剤などの有効性が臨床レベルで示されています。
 したがって、ウイルス増殖後期過程を標的とした抗ウイルス戦略は有効であると考えられることから、感染細胞からのウイルス放出機序の解析、ウイルス放出を阻害する薬剤の探索と治療法の開発を行っています。ウイルス出芽、多胞体エンドソーム(Multivesicular body、MVB)形成、細胞質分裂は、いずれも細胞質側から膜の反対側に小胞を形成するという点は位相学的には同じであり、多くの共通する細胞性因子を利用します。

エボラウイルス、ラッサウイルスの増殖を阻害する化合物の探索

長崎大学熱帯医学研究所は、同大学医歯薬学総合研究科 創薬研究教育センターとの間で、研究グループを組織し、同大学先端研究センターの創薬専門スーパーコンピュータDEGIMA-2(2009、2010年、ゴードン・ベル受賞)を駆使し、東京大学創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリーとの連携によって、対象となる化合物の探索を行っています。

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