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長崎大学熱帯医学研究所における
感染症研究およびフィールド研究の現状

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金子 聰 氏

3. 「複数の顧みられない熱帯病に対する
一括診断技術開発と広域的監視網の整備」

長崎大学熱帯医学研究所 生態免疫学分野 教授 金子 聰

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顧みられない熱帯病
(Neglected Tropical Diseases、NTDs)とは

熱帯地域の貧困層を中心に蔓延している感染症のことであり、世界で10億人以上がその脅威にさらされています。WHOの統計では、現在、149の国と地域で流行しており、少なくとも100の地域で2つ以上のNTDsが、30ヵ国で6つ以上のNTDsが蔓延しているといわれています。
 1998年にイギリス・バーミンガム市で開催されたG8サミットでの橋本龍太郎首相(当時)による国際寄生虫対策イニシアチブ(橋本イニシアチブ)の提唱を契機に、問題解決に向けた国際的な取り組みが始まりました。

対策の進展状況

対策は進みつつありますが、その評価のためのモニタリングシステムが確立していません。いくつかのNTDsは、地理的分布も重複して発生していることから、1度にまとめて、複数の感染症をモニターできないものだろかということで、2009(平成21)年度~2011(平成23)年度、科学技術戦略推進費「アジア・アフリカ科学技術協力の戦略的推進」(国際共同研究の推進プログラム)として、さらには、2012(平成24)年度~2016(平成28)年度、先導的創造科学技術開発費補助金「途上国におけるイノベーションを促進する国際協力の戦略的推進プログラム」に採択されたアフリカにおけるNTDs対策に資する多重感染症の一括診断法の開発と監視網の整備に関する研究を行っています。

MULTIPLEX ASSAY(マルチプレックス・アッセイ)

一括診断法の原理は、1つのたんぱく質(抗原)を1つのビーズに固定するものであり、 血清中の抗体とビーズ上の抗原の結合、洗浄、蛍光抗体との結合、洗浄によって、抗体をたくさんもつ血清と、抗体をもたない血清を作り出し、レーザービームの照射によって、赤いビームでビームの色を、緑のビームで蛍光量を測定し、診断を行うものです。
 実践の模様として、ケニア共和国のスバ地区ならびにクワレ地区におけるヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、HIV)やフィラリアなど、代表的な6つの感染症の感染割合に関する実地調査と評価について紹介がありました。

MULTIPLEX ASSAYのPhase IIの事業デザイン

1. 一括同時診断技術開発のアフリカ・ラボ拠点の整備
 ● ナイロビに分子生物学的開発を可能とするラボ整理完了
 ● 対象病原体の追加
 ● 1病原体複数抗原化とその評価の実施
2. 開発技術を用いた網羅的監視体制の確立と運用の準備
 ● 採血用フィルター紙を用いた調査体制の確立
 ● 地域代表性のある調査システムの確立
 ● 調査の実施(ケニア保健省を主体に実施:ケニア人によるケニア人のための)
 ● 検体の一括同時測定
 ● ケニア以外での調査実施(留学生のネットワークを活用)
3. 学校保健を基盤とした村落レベルでの統合的啓発活動の準備
 ● JICA(国際協力機構)の草の根事業地域での学校保健と一括診断の実施

継続性・拡張性、そのビジョン

 ● 長崎大学の恒常的拠点
 ● 一括診断センター設置(郵送による各地からの検体の受け付け)
 ● アフリカ各国の地域保健対策との連携
 ● 衛星による地球観測データ(DIASなど)との連携により、アフリカ感染症マップの作成を検討

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