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医療健康分野のビッグデータ活用の現状と課題
−ビッグデータが医療の概念を変える−
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医療健康分野における「ビッグデータ」活用の重要性が強く唱えられています。日々産生される膨大な量の診療情報やゲノム情報などを、いわゆる「ビッグデータ」として活用することによって、人類の健康や寿命を著しく改善していくことが期待されています。一方で巨大な情報をICT化し活用するための基盤整備に対して、大きな課題も存在しています。わが国のビッグデータ活用への取り組みの現状と課題を俯瞰してみました。

Big Dataという言葉は2010年にイギリスのエコノミスト誌で発出し、アメリカ政府がこの言葉を使ったことで一気に広がりました。たった5年ほどの間に世界中の政府も民間も、施策やビジネスの戦略戦術にビッグデータ活用を唱えるようになっています。
 ビッグデータが従前の大量データとは異なるその特徴は、まずデータ量の圧倒的な巨大さ(Volume)です。そしてデータの種類の豊富さ(Variety)、さらにリアル性をもつデータで分析のスピードが問われるもの(Velocity)とされています。ビッグデータの活用により生み出される新たな付加価値が注目され、すでに商業、マーケティングをはじめ、多分野で活用が進んでいます。
 医療健康分野においても医療情報の集積、ゲノムデータの集積などは正にビッグデータであり、これらビッグデータの集積、解析によって得られる成果の重要性が強く認識され、活用の取り組みがはじまっています。
 一方、このビッグデータ活用の背景となっているスーパーコンピユーターや大容量データの高速処理システム(Data Base Management System、DBMS)の急速な進化や、シークエンサーなどの遺伝子解析機器の著しい性能向上に伴い、医療健康分野のビッグデータの研究は急速に増えており、ビッグデータを利用した医学関係論文の数をみても2012年ごろから急増しています[1]

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中山健夫「医療ビッグデータがもたらす社会変革」日経BP社 21世紀医療フォーラム編(2014年)

医療健康分野ビッグデータ活用がもたらす社会変革

医療健康分野のビッグデータについては、公衆衛生、健康政策、医療評価、医療政策、医療変革(発症予測予防医療へのシフトなど)、新医療技術創生(創薬を含む)など、その成果の活用範囲は大変広くなっています。すでにビッグデータの解析・分析・研究による成果によって、医療の効率化や改善が図られており、日本においてもこの数年で国を挙げた取り組みが本格的にはじまっています。
 医療健康分野のビッグデータに対する期待が特に大きいのは、日々産生されている膨大な診療データや、解析スピードが飛躍的に進歩し、情報爆発とまで表現されるゲノムデータの解析成果のフィードバックが医療健康の飛躍的な改善やイノベーションの推進に大きく貢献することが考えられるからです。またそのことは超高齢化という社会環境の中で高齢者の健康寿命をいかに伸ばし、医療福祉の社会経費をいかに適正化していくかという重要な課題に対しての対応でもあります。またさらにその関連サービスやビジネスを含め、社会に大きなパラダイムシフトや経済効果をもたらすことも期待されています[2]
 医療健康ビッグデータの活用によって得られることが想定できる主な成果を表1にまとめています。

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「ビッグデータが私たちの医療・健康を変える」21世紀政策研究所報告書(2014年9月)

表1 想定されるビッグデータ活用の主な成果

表1 想定されるビッグデータ活用の主な成果
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