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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第3回〈最終回〉
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3. 割付け情報が明らかになったデータの扱い

臨床試験の実施中のいつであっても、免除が認められていない場合には、(連載第2回の)セクションc.6にあるように、ICH E2Aガイドラインに基づき、有害事象を発現した個別の症例について盲検解除が行われる。これは主に重篤で未知の副作用の場合であって、規制当局への緊急報告の基準に合致するかを判断することが目的である。企業は新たに利用可能となった割付け情報の取り扱いについて、さまざまな選択肢があり苦心している。これには誰がその情報にアクセスすべきかも含まれる。ほかにもたとえば以下のような課題がある。

その割付け情報は試験のデータベースや安全性データベースに格納するべきか?
もしそうならば、通常の割付け情報(プラセボ群、対照薬群、被験薬群など)とは別の変数に格納するべきか?
そのデータの入力は、試験が完了するまで待つべきか?
その情報にアクセスできる人を一部の特定の人に限定するべきか?(安全性部門の全員あるいは一部の担当者にアクセスを許可し、試験の実施や解析にかかわる臨床担当者や統計担当者には許可しないなど)
一部の企業が行っているように、盲検解除した緊急報告を規制当局やDSMB、倫理委員会に提出した場合、試験に参加している医師に対してはその症例の割付情報を開示しないままにしておくべきか?

 このような問題に対して1つの正解はないし、規制当局からも指針は与えられていない。対処方法は、会社や会社の組織構造、そのような問題に対する会社のポリシー、データ管理に用いているシステムなど多くの要因に依存している。
 しかし、CIOMS ワーキング・グループ VIの議論において、個別症例で盲検解除された割付け情報は安全性データベースに格納し、安全性部門や試験の実施にかかわる人にも制限を加えることなくアクセスを可能にしたほうが良いとの意見を複数のメンバーが述べた。そのような情報を簡単に利用可能にする根拠は、実施中のモニタリングや安全性評価の中で考慮に入れるべきという考えである。しかし、さまざまな意見があるこの問題に対する指針は、本ワーキング・グループの検討範囲を超えるものである。

4. データ処理上の問題

臨床試験の安全性データの処理や解釈が容易であることは滅多になく、スポンサーや医師にとって課題の多い仕事になっている。課題の一部は、安全性データの包括的なレビューには個別症例の報告と集積されたデータの両方の分析が含まれているという事実に起因している。この重層的なアプローチによって、医薬品の安全性プロファイルを定性的にそして定量的に理解することが可能になる。
 もう1つの課題は、重篤な有害事象など安全性情報の重要な構成要素はスポンサーが知り得てから規制で決められた時間枠の中でレビューしなければならないこと、その一方で、集積されたデータは試験の終了後あるいは開発プログラムの終了後と同様に定期的にレビューされるということである。臨床開発中に行われる安全性データのレビューが多角的であることが、データ・マネジメント・プロセスに対して柔軟性と堅牢性を要求するのである。
 試験の安全性データの管理には多くの業務があり、それらをすべて網羅することは本章の範囲外である。中核をなす業務には、データ入力、エディット・チェック、エディット・チェックで発見された矛盾に対する問い合わせ、MedDRAなど標準的な辞書を用いた有害事象のコード化、複数の試験のデータを扱う場合には統合解析のためのデータ・セットのプーリングなどが含まれる。安全性データベースの正確性と完全性を保証するため、これらの業務は慎重かつ正確に行われなければならない。
 しかし、試験が完了もしくは臨床開発プログラムが完了すると直ちにデータ解析を開始し報告書の作成が行えるよう、データベースを固定することへの大きなプレッシャーを負うことになる。安全性データの解析は可能な限り迅速に行うべきであるが、試験が完了した後で認められる可能性がある副作用の疑い(suspected adverse drug reactions)に医師やスポンサーが対処する仕組みもなければならない。さらに、試験の完了時にはまだ消失していなかった副作用の疑いの追跡情報を入手する仕組みも実装されていなければならない。理想的には、そのような問題はプロトコルに記載されるべきである。

[訳者注]

「副作用の疑い」という用語は、医療従事者あるいは研究者が個々の症例において薬がイベントに関連するかもしれないと判断したときに用いる。定義上、企業や行政に自発報告される症例報告は、「副作用の疑い」である。因果関係のエビデンス・レベルに応じた用語の使い分けについては以下の文献を参照。小宮山靖,ある有害事象が“副作用”とよばれるようになるまでの流れ,医学のあゆみ251(9):683-689.


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