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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第2回〈全3回〉
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CIOMSワーキング・グループ Ⅵ の推奨:
  患者が安全性上の理由で治療を中止したとき、あるいは患者が治験終了した時点で重篤な有害事象や特に注目すべき有害事象が消失していない場合は、その事象が消失するか、状態が安定するまで、あるいは、事前規定したア ウトカムに至るまで追跡するべきである。
  患者の意思で中止する場合には、有害事象が発現している可能性があるので注意深く問診を行うべきである。Intention-To-Trea(t ITT)解析を適切に行えるように、可能な場合はいつでも、患者が中止したとしても最終規定来院日まで追跡するべきである(より詳しい議論は第6章を参照)。

[訳者注]

ITT解析は、有効性の解析において用いられ、ランダム化で確保された群間の比較可能性を最大限重視する方法であるが、従来、安全性の解析においてはあまり用いられてこなかった。少なくとも1回の治験薬(被験薬)投与を受けた被験者全体と定義する安全性解析対象集団を設定する場合が多かった。本報告書の第6章では、安全性の解析においても、群間比較を行わなければ因果関係を評価できない事象については、群間の比較可能性を重視したITT解析を取り入れるべきであると提案を行っている。

普段とは異なるいかなる安全性情報、あるいは薬剤性であろうと考えられるいかなる安全性情報も、医師がこの情報に気づいた場合にはスポンサーに知らせるべきである。これには、試験に過去に参加していた患者(その患者にとっては試験は終了している)も含まれる。医師は、治療中止後に顕在化する可能性がある潜在性の安全性情報がないか注意し続けるべきである。スポンサーも医師のこのような姿勢を推奨するべきである。一例は、2年間の試験を終えた患者に3ヵ月後にみつかった薬剤性肝障害が疑われる事象である(説得力のあるほかの原因がみあたらなかった)。

[訳者注]

この事例はDavidson CS, Leevy CM, Chamberlayne EC(. eds.)( 1979). Fogarty Conference. Guidelines for Detection of Hepatotoxicity due to Drugs and Chemicals. NIH Publication No. 79-313. USを参照。


訳者あとがき
 前回は安全性情報の収集は、得られている情報量(症例数)とリスクの重要性により強弱を付けることが推奨されていた。今回は、具体的に収集する方法についてであるが、前回の内容と対応付けた理解が必要である。たとえば、集積されている症例数が少なく安全性データベースが貧弱な段階では、診断名のみでなく詳細な症状・兆候と状況あるいは広範囲の臨床検査値の報告があらゆる場合に求められるべきであるが、情報が蓄積して因果関係が明らかになった副作用については診断名のみによる簡潔な報告が推奨される。
 例として、患者の「動悸と手足の冷感」という訴えから医師は「血圧低下」と診断し報告する場合があるが、実際の血圧が測定され確認されることはほとんどない。事故防止のため副作用のリストに「血圧低下」が記載された後の患者の「めまいと脱力感」という訴えは「血圧低下」と診断されやすくなる。しかし、実は低血糖かもしれない。このような誤った情報の結果、重篤な低血糖に至る症例が生じる可能性がある。
 また、d.1. 節ではあまり論じられることがない患者からのヒアリング方法について述べられている。一般に適用できる基本的な考えは、誘導による誤った情報の収集を避けることである。その一方で、患者は自身の状態を自覚し適切に表現することに慣れておらず、具体的な例示が必要な場合が少なくない。特に重篤な副作用の前駆症状を確実に聞き出すことは被験者保護のため優先されるべきである。

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