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CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より

「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第2回〈全3回〉
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2. 重篤な有害事象と他の重要な有害事象
 一般的に、重篤な有害事象が発現したときには、医師が速やかに報告することをスポンサーは求める。電話を通じて口頭で報告する場合もあるし、CRFとは別の報告様式をファックスで送る場合や、電子的な手段で報告する場合もある。前述のように、データ収集プロセスを簡略化し、一貫性をもたせ、重篤な有害事象をスポンサーに報告する医師の混乱を少なくするために、医師が記入する標準的な様式が検討されるであろう(原書の別添8)
 臨床検査値、生検、ECG、EEG、聴覚検査などの特別なデータが、ローカルラボ、セントラルラボ、クリニックから収集される場合がある。医師は、何か警告が必要な結果の知らせを速やかに受け取ることができるよう手配するべきである。このような知らせはスポンサーにも届けられるべきである。収集と通知を含んだプロセスはプロトコルに明記されるべきである。もちろん、適切である場合には、データの適切な解釈が行えるように、医師やスポンサーは臨床検査値の基準値を入手すべきである。

[訳者注]

日本において頻用される血液検査項目に関して、日本全国で共通して使用することが可能な共用基準範囲を日本臨床検査標準協議会が策定し公表している。詳細は製薬協ニューズレター2014年5月号No.161「血液臨床検査項目の共用基準範囲設定について」を参照。


多くのスポンサーは、安全性データを2つのデータベースで蓄積している。1つは、市販後の継続的な安全性監視活動(自発報告など)から得られた症例報告や、規制当局への緊急報告が必要になる可能性がある重篤な有害事象を蓄積するデータベースである。このデータベースに特に注目すべき非重篤な有害事象を含めることも薦められる。
 このデータベース(「安全性データベース」)は、開発期間を通して、さらには市販後においても化合物の安全性データを蓄積するために用いられる。もう一方のデータベースには、臨床試験で得られたすべての安全性データ、有効性データ、そのほかのデータを含み、重篤な有害事象、すべての非重篤な有害事象が含まれる。通常、別途作られる安全性データベースとは異なり、この臨床試験データベースは特定の臨床試験データのみを含む場合が多く、試験が完了すれば解析のために「固定」される。スポンサーがこれらのデータを取り扱い、2つのデータベースが整合しており必要に応じて不一致が是正されていることを確保するために、明確なポリシーや手順をもつことが重要である[12]。安全性データベースにある情報は、試験が完了し、臨床試験データベースが固定された後に更新される可能性があることにも注意しなければならない。
 総括報告書やデータ解析(すでに完了している場合)の修正が必要かどうかには、判断が必要であり、その判断はその製品の安全性プロファイル(さらにはベネフィット・リスクのバランス)上、重要な情報であるかに依存する。

mark [12]
2つのデータベースの整合性を確保する最小限のデータ要素を決めている会社もある。たとえば、プロジェクト/プロトコール番号、医師番号、被験者のイニシャルや番号、性別、生年月日、有害事象の報告言語、有害事象の発現日、有害事象の重症度(軽度、中等度、重度など)、重篤性の基準に合致するか、医師による因果関係評価などである。

e.いつ?

観察期間は試験ごとにプロトコルで定義しなければならない。患者が同意書に署名した時点を安全性データ収集の起点とする場合が多い(原書の別添3のアンケート結果第4項を参照)。この起点は明解であり、選択バイアスを避ける一助ともなる。同意書に署名し、数日以上後になって患者が試験に正式に組み入れられる場合は、治療へのランダム割付が行われた日から安全性情報を収集するほうが適切な場合もある。ランダム割付前に発現した有害事象は、既往歴と考えられる。そのような情報を収集することが重要なのは、「試験治療下での発現」という評価を行うためである。たとえば、同意書に署名した後の試験治療開始前に発現した悪心は、有用な情報となるであろう。

[訳者注]

これはあまり良い例ではないかもしれない。投与前に一時的に起きた事象から時間が経過し、投与後に同じ事象が発現したとしても、後者が試験治療と関連があるかは特定できないためである。「試験治療下での発現」は本来、試験治療が原因ではない事象(ノイズ)を最低限排除するための視点である。

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