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「第26回製薬協政策セミナー」を開催
健康・医療戦略を踏まえた医薬品産業の発展に向けて
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飯田 圭哉氏
仙石 慎太郎氏

医療の国際展開では地域性・民族性という視点が重要

山口 本日の講演の中で、日本の医療のブランド価値を高め、医療そのものを仕組みとして海外に提供するという話がありました。特に、今後拡大が見込まれる新興国市場が有望視されていたようですが、その実現性について聞かせてください。
飯田 完全に日本の制度がトランスプラントされるかどうかは、やってみなければわからないというのが本当のところだと思います。ただ人的交流を重ねることで信頼は醸成されますので、日本が新興国の医療保険制度に協力していくことで、日本の医療に対する信頼性は高まると思います。ですから、重要なことはトランスプラントされるかどうかではなく、政府としてその国の医療に貢献することです。そのうえで、反射的利益としてわが国の製薬業界のビジネスに恩恵が与えられれば、それはそれでwin-winの状況になると思います。さらに、海外の医師や製薬企業が日本に来れば、それも1つのイノベーションのきっかけになり、活気が出て好循環が続けば、日本の医療制度そのものが良化、効率化していくと思います。そうなれば、医療財政の抑制というもう1つの目標の実現にもつながるのではないでしょうか。そうした好循環は政府だけでは実現できないので、官民連携で知恵を出し合うことももちろん重要だと思います。
山口 飯田さんは安倍首相の海外視察にも同行していると聞いていますが、発展途上国や新興国の医療に何か変化がありますか。
飯田 新興国や発展途上国でも生活習慣病がかなり増えています。土屋品子厚生労働副大臣とミャンマーの総合病院を訪問した時も、生活習慣病の患者数が外科の救急や感染症の患者数とほぼ同等でした。ミャンマーだけでなく、ほかの新興国においても生活習慣病や人口の高齢化が日本より速いスピードで進行している印象があります。日本はそうした経験をすでに積んできたわけですから、単なる技術協力にとどまらず、貢献できる部分は多いと思います。
山口 医療の国際展開について、それぞれの意見を聞かせてください。
中垣 途上国でも新興国でも医療は大きな関心事ですので、首相がそうした国々を訪問した時は必ず話題の一つになります。たとえば、日本ではすでに市場がなくなっていても世界的にはまだ課題になっている疾病は数多く存在します。そうした領域に改めて取り組むことも、単に経済的な利益にとどまらず、国際貢献を通して日本の評価を高めるというメリットがあると思います。特に医療の場合は、医療保険制度のようなインフラの整備も含まれますので、日本の医療をシステムとして提供し、役立ててもらうという姿勢で現在取り組んでいるところです。
仙石 医療の国際展開を考えるうえでは、地域性、民族性という視点が重要です。わが国は、東アジアやその周辺地域を意識する必要があると思います。たとえば、iPS細胞による再生医療が検討されていますが、同種・他家細胞を使った治療を基本とするのが国際的なコンセンサスです。そうなると、iPS細胞をバンク化あるいはストック化して治療に用いるといったモデルが想定されます。その際は、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen、HLA)のハプロタイプで分類することになるので、人種構成を反映したバンクにならざるを得ません。そのため、仮に日本がiPS細胞バンクを構築し、治療に活用できるようになれば、それは日本人のみならず、人種的に類似性が高い東アジアや中国などでも容易に適用できると考えられています。もちろん、こうしたことは先端医療に限らず、従来型の創薬でも同じです。ゲノム診断や血中マイクロアレイを使った侵襲性の低い確定前診断などが普及し、個別化医療が定着すれば、地域性・民族性を考慮したさまざまな治療レジメンの開発も進むと思われます。そうした方向性を踏まえれば、日本にとってアジアの位置づけはますます重要になりますし、進出の好機も間近に迫っているのかもしれません。
多田 製薬業界に身を置く立場としては、少し意見が異なります。国際的な創薬環境を考えると、特に新興国においては医薬品資本が育っていないという印象があります。現地資本が育っていないと技術移転も難しく、製薬企業自身が大きなリスクを背負って進出し、自らの手で現地での医薬品製造を考えなければなりません。しかもジェネリック医薬品が普及し、コンパルソリーライセンス(特許強制実施権)も時に求められる状況では、事業展開は非常に難しい状況にあるといわざるを得ません。少なくとも新興国での事業展開は、欧米とは相当事情が異なることを念頭に置く必要があると思っています。

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