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「第26回製薬協政策セミナー」を開催
健康・医療戦略を踏まえた医薬品産業の発展に向けて
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飯田 圭哉氏
飯田 圭哉 氏

仙石 日本発という言葉には、国内で生まれたシーズや物、あるいはサービスを、国際展開していくという意味合いがあります。もう1つは、ある疾患の患者を日本が世界に先駆けて治療するという意味での、日本発というとらえ方もあります。ところが、再生医療を例にすれば、日本で世界初の治療を行ったとしても、そこで使われる試薬、機器、あるいは培地などは、輸入品が多いという現状があります。すなわち、世界初の治療が増えると国内のイノベーションの機会が刈り取られてしまう可能性があるわけです。それでは、日本の企業が日本のプロダクトを世界展開するという意味での日本発ではどうなるのかといえば、世界進出を目指すとなるとファーストインペイシェント(治験における最初の患者登録)が必ずしも日本ではなくなる可能性もあります。このように、医療・医薬品産業におけるイノベーションを考える時、常に悩ましいジレンマが生じます。ですから、大学の研究者が取り組む先端的かつ革新的な医薬・医療の開発では、イノベーションという前に、まずこのジレンマをいかに整理し、解消するかが最大の課題になっています。
多田 アカデミアや民間、あるいは政府の研究機関を問わず、イノベーションの起点は研究者です。したがって、何らかのグローバルなイノベーションを考える時には、まず研究者の意識、姿勢、目指す方向性が重要になると思います。たとえば、アカデミアの研究者であれば、真のファーストインクラス、世界の人々を助ける医薬品を開発するという意識が必要だと思います。しかも、一つひとつのパーツをすべて掘り下げていく意識がなければ、最終的なイノベーションにつながらないと考えています。一方、成果を求められる企業の研究者にとっては、ファーストインクラスを意識した世界初の製品開発はリスクが高いため、より成果の出やすい製品を開発する姿勢が必要かもしれません。最近はiPS細胞の権威である山中伸弥氏のような、自分で開発した技術を活かした医薬品を世に出したいと強く願う研究者もいるので、そうした熱意が新しい創薬の原動力になる可能性もあると考えています。

創薬支援ネットワークは知財保護にも力を発揮する

山口 製薬業界におけるイノベーションとは、基本的には創薬力だと思います。その支援体制ともいえる日本医療研究開発機構は、文部科学省(以下、文科省)、厚労省、経済産業省(以下、経産省)の3省によるこれまでの支援制度の統合といえますが、実際に創薬のスピードアップにつながるのでしょうか。
中垣 日本医療研究開発機構立ち上げの背景には、いわゆる縦割り行政の打破がありました。もちろん、やみくもに一元化すればよいわけではありませんが、そもそも医療分野の研究開発には基礎・応用・実用化の3段階があるといっても、それほどきれいに3分割できるわけではありません。そのため、研究費の申請が上手な研究者は文科省と厚労省の両方から助成金を受け取ることができたと思いますし、その一方で申請があまり上手ではない研究者は、せっかく素晴らしい研究でも助成金を受け取れないことがあったと思います。また、基礎研究を対象とする文科省の助成金は比較的大きいため、基礎研究志向の研究者が増え、臨床研究を担う研究者が増えないという指摘もありました。しかし、日本医療研究開発機構によって助成金が一元化されることで、以上のような問題点がかなり解決されるものと思います。加えて、助成金はこれまで、文科省では委託費、厚労省では補助金という費目になっていたため、文科省の委託費では雇える助手が厚労省の補助金では雇えないという状況もありました。しかし、新制度で費目が委託費に統一されるため、そうした不都合も解消されるはずです。さらに、日本医療研究開発機構には知的財産関連のサポート部門も設置されるので、研究者が研究に専念できる環境が整うのではないかと期待しています。
飯田 少し補足すると、日本医療研究開発機構が設置されることで、関係省庁の連携、あるいは産・学・官の連携もこれまで以上に強固になると思います。この体制はほぼ恒久的措置として実施されていくはずですので、医薬品の研究環境に安定感も出てくると思います。
山口 仙石先生は日本医療研究開発機構にどのようなことを期待しますか。
仙石 マクロの視点では政策やその枠組みの安定性の確保、ミクロにはベンチャー企業の経営支援があると思います。しかし、一番期待したいことはメゾレベル、すなわちマクロとミクロの間にある領域の環境整備です。講演ではエコシステムという言葉を使いましたが、私たちが取り組んでいる産・学・官、産・学・公のコンソーシアムなどはその1つの試みです。大企業の後ろ盾のもとに、リスクの共有や資金調達の多様化を推進し、いかにベンチャーを仕組みの一つとしてとして機能させるかです。

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