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CIOMSワーキング・グループ Ⅵ 報告書 第4章より
「臨床試験における安全性データの収集と管理」の紹介 第1回〈全3回〉
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上記の推奨は満場一致ではなかったものの、二者択一の選択肢はCIOMS ワーキング・グループ Ⅵ の大多数が賛同したものであった[15]
 医師がSAEの原因を判断する過程を手助けするために、本ワーキング・グループは、CIOMS ワーキング・グループⅢ/Ⅴ報告書の提案を採用することを推奨する。つまり、CRFやSAE報告書に、原因の候補となる標準的な選択肢を示し、医師が自身の意見としてもっともらしく思われるものを1つ選択させるのである。具体的には、病歴、有効性の欠如、治療対象の病態の悪化、治験薬、ほかの治療(併用治療、前治療)、試験治療の中止(離脱反応が薬剤性であると考えられる場合)、誤投与、プロトコルが要求する手順、そのほか(具体的に記載)[16]

mark [15]
副作用のさらなる議論については用語集(原書の別添1)を参照。
mark [16]
Guidelines for Preparing Core Clinical-Safety Information on Drugs Second Edition. Including New Proposals for Investigator's Brochures. Report of CIOMS Working Group Ⅲ/Ⅴ. CIOMS Geneva 1999.

CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ の推奨:
CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ は、医師が用いるSAEの報告様式に、CIOMS ワーキング・グループ Ⅲ/Ⅴが提案した、可能性がある原因の選択肢を含めることを推奨する。医師がある事象の原因が被験薬ではないと考える場合には、もっとも可能性が高いほかの原因が示されるべきである。

CIOMS ワーキング・グループ Ⅲ/Ⅴ報告書は、新たな副作用やほかの安全性データを製品情報に追加する閾値に達したかどうかを判断することを目的として、個別症例や複数症例(集積されたデータ)の両方に基づいて因果関係を評価する際に役立つ基準も与えている。臨床試験においては、これと同じ基準に若干の留意点を加えることで、どのような場合に情報を治験薬概要やDCS(I Development Core Safety Information)に追加するべきかを判断するために有用になる(原書の別添7を参照)。医師たちは通常、個別症例についての因果関係判定を行うよう求められるので、治験開始前にそのような評価についてトレーニングされるべきである。原書の別添7のほとんどの部分が、このような目的に役立つであろう。

[訳者注]

個別症例および集積された情報において被験薬との因果関係評価を行うための判断基準は本報告書の別添7にまとめられているが、これらについての解説は以下を参照されたい。市販後・データサイエンスアドバイザリーグループ有志. 科学的な安全対策への転換をめざして(2)―個別の有害事象が副作用になるまで―. 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス 2014: 45(2); 98-105.( https://www.pmrj.jp/teigen/PMDRS_45-2-098.pdf で入手可能)

訳者あとがき
 CIOMS ワーキング・グループ Ⅵ 報告書は2005年に公表されましたが、2008年、2010年の2回増刷されています。このことからもこの考え方が支持されていることがうかがわれます。しかし、日本では臨床治験、製造販売後調査を問わず「あらゆる情報を収集しておこう(all-inclusive)」という習慣がいまだに大勢を占めています。また、SAEは異なる診療科領域のものであることもあり(たとえば内科領域の治療に対する眼科領域の事象)、このような有害事象を適切な診断を含め収集することは、治験担当医師または処方医師にとって「あらゆる情報を収集しておこう」方式ではかなり無理があります。
 質の高い安全性データの収集には計画による "選択と集中" が必要です。「あらゆる情報を収集しておく」ことで、さまざまな自覚症状(不定愁訴を含む)や軽微な個々の臨床検査値の変動を収集することが安全性データの質を高めるのではありません(安全性データが乏しい段階では "見逃さないため" にこのような努力は重要ですが)。「あらゆる情報を収集しておく」ことが、「医師やスポンサー自身に必要以上に負担をかけることにもなるし、試験の実施中やモニタリング時に、より重要な問題から注意をそらさせる可能性もある」という本報告書のメッセージは肝に銘じておくべきでしょう。

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