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国・企業国籍からみた医薬品の創出と権利帰属
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医薬品の基本特許は原則として1品目につき1つです。その1つの特許が主として当該品目を保護していることから、創出者に与えられる特許権は製薬産業において大きな役割を果たしています。医薬品は研究所で創出された後、臨床試験を経て上市、販売へと至ります。その過程においてM&Aなどの企業活動により、医薬品の特許権の帰属が変わる場合が少なからずあり、販売時に権利を有しているのが創出者とは限りません。そのため、医薬品の創出から販売までの権利の帰属経緯を知ることは、製薬産業の現況を理解するための基礎として重要と考えられます。今回、国・企業国籍という観点からみた医薬品の創出と権利帰属について報告します。


医薬品創出国と創出企業国籍

 2013年医薬品売り上げ上位100品目を対象に、発明が行われた時点での医薬品創出国とその権利が帰属する創出企業の国籍を調べました。ここで医薬品創出国は創薬研究が行われ、有効成分などが実際に見いだされた国、すなわち対象医薬品の特許に記載の発明者住所の国名としました。その際、発明者住所が複数の国にまたがる場合は人数により比例配分し、集計しました。また、医薬品の権利が帰属する創出企業の国籍は上記特許に記載されている出願人/譲受人の企業の国籍とし、多国籍展開している企業の場合は親会社の国籍としました[1]。具体的にはIMS World Review 2014記載の2013年世界売り上げ上位100品目[2]を対象に、IMS LifeCycleに記載の特許情報のうち最も基本と考えられる特許について、Thomson Innovationを用いて対象品目の出願時の特許明細書を確認しました[3]
 結果は図12に示す通りです。上記100品目の医薬品のほとんどは日米欧(イギリス、スイス、ドイツ、ベルギー、フランス、デンマーク、スウェーデン)およびイスラエルの10ヵ国から生み出されています。創出国、創出企業国籍の両面からみてアメリカが世界1位であり、全体のおよそ半分を創出しています。日本は創出国、創出企業国籍ともに世界3番目であり、全体の1割弱を創出しています。特徴的なのはスイスです。スイスは国としては世界4番目の100品目中6.6品目創出しているのに対し、企業国籍としては世界2番目の15品目創出しています。なお、個別でみると100品目のうち創出国と創出企業国籍が異なる品目は19ありました[4]。そのうちイギリス(4品目)、ベルギー(2品目)、カナダ(1品目)で創出された発明の権利がアメリカ企業に帰属し、アメリカ(5品目)、日本(1品目)、ベルギー(1品目)で創出された発明の権利がスイス企業に帰属し、アメリカ(1品目)、フランス(1品目)で創出された発明の権利がイギリス企業に帰属していました。企業が国外で盛んに研究活動を行っていたことがうかがえます。

mark [1]
親会社が確認できない場合は明細書記載の出願人/譲受人の住所の国名を企業国籍としました。一部含まれる大学出願特許については大学の所在地の国名で集計しました。
mark [2]
IMS World Review掲載リストのうち、同一成分の2品目、血糖モニタリングデバイス1品目を除いた上位100品目を対象としました。
mark [3]
不足しているデータはPharmaprojects、EvaluatePharmaなどにより補い、候補となる特許が複数ある場合は筆者の判断により1つの特許を選択しました。グローバルに権利化を目指すPCT(特許協力条約)国際出願など第二国出願特許を調査しました。
mark [4]
発明者住所の国名と企業国籍が完全に異なる場合のみを集計し、発明者の一人でも国名と企業国籍が一致する場合には集計から除きました。
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