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「欧州レギュラトリーセミナー」を開催

– Latest Developments in European Pharmaceutical Law –

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2014年5月21日に、ベルギーよりGeneviève Michaux 氏(Hunton & Williams法律事務所)を講師に招き、「欧州レギュラトリーセミナー」を製薬協で開催しました。会員会社の薬事や臨床開発、知財などの部門より計82名の参加があり、セミナー後に実施したアンケート結果でもタイムリーな話題で、興味深かったという声が多数ありました。トピックとしては1)臨床試験に関する新しい規則(Regulation)やEMA(欧州医薬品庁)によるデータ公開の動向、2)小児臨床試験に関する注意点や問題点、3)データ保護・独占期間に関する論議、4)そのほかの最新の薬事規制情報など、多岐に渡って取り上げ、実例も混ぜてわかりやすく説明がありました。本稿では、本セミナーの概要を報告します。


北川 哲雄  教授
講師のGeneviève Michaux 氏

1. The New EU Regulation on Clinical Trials

 EUにおける臨床試験に関連した薬事規制で、大きな改正点は何といってもCTR (Clinical Trial Regulation)の導入です。これまでも臨床試験を実施するための一定ルールはありましたが、指令(Directive)レベルであったため、細部では各加盟国(MS)の裁量に任せられていて、実態として必ずしも統一されていませんでした。本改正は、これを規則(Regulation)レベルに変えることで、現在28あるMSに対し、一律に同じルールを適用させることとし、統制力が強化されることになりました。
 現在、CTRに記載される文言や言い回しについて最終審議が行われているところですが、4月には欧州議会を通過し、6月の欧州理事会にて批准される予定です。なお、CTRが実際に適用されるのは、EUの官報に掲載されてから約2年後となりますので、2016年第3四半期から施行となる予定です。制定の過程では、医師らが主導する非商業的な臨床試験や希少疾患などを対象とした特殊な臨床試験を実施する場合の申請要件は緩和し、手続きに要する負担を軽減してはどうかとの検討もあったようですが、最終的にはどの臨床試験に対しても同じルールを課すことで落ち着いたようです。


● 臨床試験実施の新しい審査プロセス
 新しいプロセスでは図1のようになります。これまで申請者は、各MSの規制当局へ個別に申請していましたが、今後はEMAが管理するEUポータルを窓口として、一括電子申請することになります。
 申請資料は、提出後10〜25日以内に不備のないことが確認された後は2つに分かれ、臨床試験の実施計画に関し、科学的・技術的な側面を審査するPart Iと倫理的な側面を審査するPart II がそれぞれ独立して行われることになります。
 Part I の審査は、臨床試験の申請を受けたすべてのMSの規制当局が同じ申請書類を審査しますが、そのうち1つのMSが取りまとめ役になって、1つの審査報告書を作成します。まとめ役となるMSの選定にあたっては、必ずしも希望が通るわけではありませんが、申請者側から要望することが可能です。
 一方、Part IIの審査はMSごとに実施され、具体的には倫理委員会が中心になりますが、規制当局との間の業務分担は各MSの裁量に任されており、最終的には、MSとしての判断を報告書にまとめます。共通しているのは、審査期間が厳格に決められており、どちらのパートも45〜76日の間に審査結果を取りまとめて報告書を作成し、その後5日以内に実施を許可するかどうかの判断を下し、EUポータルへ掲載することになります。
 Part I の審査結果は、規定されている否認理由に該当しない限りは、まとめ役となったMSの審査結果、すなわち、審査報告書の内容が最終的な判断結果となりますが、Part II の方はMS別に報告書が作成され、特に倫理面での評価であることから許可しないとの判断であれば、そのMSでは当該臨床試験を実施できないことになります。申請してから臨床試験を開始できるまでのトータルの審査期間としては、60〜106日(バイテク製品や最先端の医薬品にはさらに50日追加)を要することになります。また各MSより、期間内に可否判断が示されない場合は、当該臨床試験の実施に問題がないと自動的に判断されるようです。CTRにはほかにも試験実施国を追加したり、プロトコルなど実施計画に大きな変更を加える場合に再度、承認を得るためのプロセスや審査期間が定められています。


図1 臨床試験の新しい審査プロセス
臨床試験の新しい審査プロセス
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