治験審査委員会(以下、IRB)の閉会により、当該IRBの審査を受けた治験実施医療機関(以下、実施医療機関)で実施中の治験は、以後、GCP第31条(継続審査等)に定められる審査を受けられないことになります。IRBが閉会する事例は現在のところ殆どありませんが、この場合、GCPの目的である被験者の人権、安全及び福祉の保護、並びに治験の科学的な質と成績の信頼性を継続して確保するためも、他のIRBに審査を依頼することが以降の対応として適切であると考えられます。
その手続きとして以下の事項が考えられます。
- 実施中の治験の継続の可否について、実施医療機関の長は、GCP第27条第1項に対する対する運用通知(平成18年9月21日「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」) 10に従ってIRBに対する情報を入手し、適格なIRBと契約を締結する。
- 閉会となるIRBでのこれまでの当該治験に関わる審査関連資料(議事録等)を新たなIRBへ提供し、説明文書の改訂とともに、当該治験の審査を依頼する。
- 新たなIRBでは、過去の審議状況を踏まえた上で、当該治験の実施が適切であるかを審査していただく。当該IRBから意見があった場合には、必要な対応を行う。
- IRBが変更になった旨を被験者に連絡するとともに、新規被験者に対しては、改訂された説明文書にて説明を行う。
また、GCP第34条に定められるIRBに関わる記録の保存も以後必要です。当該IRB閉会までの記録について、IRBの設置者と実施医療機関の長、必要に応じて治験依頼者も含めて事前に協議のうえ、保存場所、保存責任者を定め、移管することが必要です。
さらに、GCP第27条第1項第2号から第4号のIRBが調査審議の依頼を受ける場合のIRB設置者の要件として、GCP第27条第2項第6号「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと」が掲げられており、その事項の一つには、「治験の開始から終了に至るまで、継続的に治験に関する調査審議を行う体制を整えていること」(運用通知の6のク)と規定されています。従いまして、今回の閉会の理由が正当であるかどうかに関し、当該IRB設置者からIRB体制維持のための対策を講じていたのかどうか、また今回の閉会に至った経緯等を説明した書面を入手することが実施医療機関の長にとって必要であると考えます。
なお、上記は日本製薬工業協会としての見解ですが、本件は非常に稀でかつ及ぼす影響が大きいため、必要な対応等について規制当局に相談することをお奨めします。
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